Snowden氏が,Amazonが利用者の行動履歴を暗号化していないことは反倫理的だと批判
下記の記事が出ている。
Why Edward Snowden thinks Amazon is “morally irresponsible.”
Washington Post: December 13, 2014
http://www.washingtonpost.com/blogs/the-switch/wp/2014/12/13/why-edward-snowden-thinks-amazon-is-morally-irresponsible/
企業の立場で考えると,全ての通信を暗号化すると処理に時間がかかりレスポンスが悪化するということを恐れることになる。
Snowden氏の立場では,暗号化されていない通信が傍受された場合,利用者がどのような書籍や商品の情報を閲読したかが判明し,思想調査につながるから良くないということになる。
もちろん,暗号化されていても国家機関が本気でとりかかれば暗号化されたデータの解読は容易だろうし,もし解読できないときはサイトを破壊する攻撃をすることになるだろう。リアルな世界とはそういうものなので,理想論やきれいごとなど一切通用しない。
この世界は,戦時と平時が常に共存する状況の下にある。
妥協策としては,国家の諜報機関の手にかかれば解読されてしまうけれども,普通のサイバー犯罪者には解読できないレベルでの暗号化をすべきだというあたりで落ち着けるしかないのではないかと思う。
無論,Amazonのある米国の諜報機関だけは読めるようにするという解決策もあり得るのだけれども,中国やロシアの諜報機関の能力は非常に高いので技術的に意味があるわけではなく,そもそもSnowden氏は米国の諜報機関の行動が米国連邦憲法に定める人権保障に反するというところから批判をしているので,米国諜報機関だけを例外とすることは許されないことになるだろう。
以上のように,この課題を技術的対応で解決しようとしても結局徒労ということになるしかないので,そもそも利用者の行動履歴を収集しないというポリシーを採用するほうが無難だということになる。それによって,利用者の個人データを売却する利益は得られなくなるし,従来のマーケティング手法が否定されることになるけれども,よく考えてみれば,複雑なセキュリティシステムを維持するだけの莫大なコストの支出を不要とすることになるので,利用者行動履歴データを収集しないポリシーのほうが全体としては大幅な黒字増加につながることになるのではないかと思う。
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