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2014年12月19日 (金曜日)

古尾谷知浩『漆紙文書と漆工房』

Amazonに注文していた下記の新刊書が届いたので早速読んでみた。

 古尾谷知浩
 漆紙文書と漆工房
 名古屋大学出版会 (2014/11/10)
 ISBN-13: 978-4815807832

既によく理解している部分はななめ読みにし,第III部として収録されている「漆紙文書釈文集成の部分を特に丁寧に読んでみた。

これまでは異なる遺跡発掘調査報告書や論文等を図書館や博物館等で探してコピーをとり,個別に読んでいたのだけれど,こうやってまとめて読めるのはとても助かる。

とても有名な漆紙文書も含まれている。

どんな学問研究でも,研究対象となるサンプルを可能な限り多く観察することが大事で,より多くのサンプルについて考察した経験を積むと,次第にマクロ的な全体像がみえてくることがある。ごく少数のサンプルだけだと仏教の教えに言う「像をなでる」の類の現象が生じ,判断を誤ってしまう。

今回も,全く判読不能な多数の断片の存在を知ることによって,この種の研究における研究者のとんでもない苦労を理解することができた。綺麗で完全なサンプルしか見ていないと,そういうことを理解することができない。

良書だと思う。

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