« 生体認証用の指紋は容易に偽造することができる | トップページ | 御穂須須美命 »

2014年12月30日 (火曜日)

刀自

「刀自」は,古代の碑文や文献資料等に出てくる。

普通は「戸主」を意味し,女性だという理解をすることになっている。

ところで,諏訪神社(長崎県長崎市上西山町)について調べていたら,その祭神が健御名方命と八坂刀賣命(建御名方命の后神)だということがわかった。

そして,あることに気づいた。

「刀自」の「自」は「賣」の略字ではなかろうか。

もしそうだとすれば「自」は「じ」や「に」とは読まず,「め」または「ま」と読むことになる。

この神社の男性祭神は「健御名方命」で,どの諏訪神社でも同じ。

ところがその妻である女性祭神の名は「八坂刀賣命」。

仮に「刀賣」が「刀自」と同じだとすると,「八坂后命」となる。

そして,この女性は「健御名方命」の妻なので,「健御名方」=「八坂」となる。

ところが「八坂神」=「素戔嗚尊」なので,「八坂后」=「櫛稲田姫命」となり,かつ,「八坂」=「健御名方命」とならざるを得ない。

歴史学の通説からは全く認められそうにないのだが,このようにして名寄せしてみると,いろいろと興味深いことがわかる。

ちなみに「刀賣」は「とめ」とも読めるが,「つま」と読むものだったのではないかと思う。

現代では「ま」の音になっているものを表現するために『大同類聚方』等では「未」の字をあてていることが多い。他の文献でも多数の同様の例がある。「未」だけみると「み」と発音してしまいそうなのだが,実は「ま」と読む。

あるいは,古代においては「ま」と「み」と「め」が不安定な状態にあったのかもしれない。

それは,古代のある時期に相当長い年月にわたり何百回・何千回と中国各地から異なる時代の異なる発音をする人々が日本列島にやってきて混血した結果だろうと推定している。

これと同様に,「め」と読めそうな漢字でも,本当は「ま」と読むべき場合があり得ると考えている。

[追記:2015年1月6日]

その後,更に検討してみた。

「自」のように見える字は,本当は「目」ではないかと思う。眼球の目と区別するために,「目」の上に「点(、)」を付した結果、「自」のように見えるだけなのではなかろうか。「目」なので「め」と読む。

「刀」は「とう(と)」と読むが、「刃」の略字だとすれば「は」または「ひ」と読み得る。

すると、「刀自」=「刃目」=「ひめ」と読めることになる。

ところで,諏訪氏大祝家が神職をつとめていた諏訪大社上社前宮(長野県茅野市宮川)は八坂刀売神を祀っている。八坂刀売神は「やさかとめのかみ」と読ませるが、本当は、「やさかひめのかみ」なのだろうと思う。

結局、健御名方命の妻は「八坂姫(やさかひめ)」で、この「八坂」は名ではなく夫の氏(呼称)を示すものと推定されるから,意味的には「八坂の神の姫」となる。

すると,やはり,健御名方命は素戔嗚神と同一神ということになるのではないかと思う。

いずれにしても、古代においては、「ひめ」と「つま」が同義で用いられていることがあり得るという感じになる。

現代でも,貴人の妻(既婚者)のことを姫(ひめ)と呼ぶ例がある。

|

« 生体認証用の指紋は容易に偽造することができる | トップページ | 御穂須須美命 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 生体認証用の指紋は容易に偽造することができる | トップページ | 御穂須須美命 »