ツタヤTカードのオプトアウト騒動
下記の記事が出ている。
ツタヤTカード、勝手に個人情報を第三者へ提供?規約改定炎上騒動の真相 CCCに聞く
Business Journal: 2014年10月31日
http://biz-journal.jp/2014/10/post_6502.html
Tポイント、個人情報を「第三者提供」されたくない人のオプトアウト受付開始
Internet Watch: 2014年10月29日
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20141029_673496.html
ポイントカードの加入勧誘行為を違法行為として全面的に禁止する法改正が必要なのではないかと思う。そうすれば,プライバシーゼロになってもメリットを得たいという消費者だけが申し込むことになるので,あまり問題が生じない。メリットだけを強調した勧誘行為をするからいけないのだ。
それはさておき,「ビッグデータはペイするか」ということも真剣に考えるべきだろうと思う。
私は,「昨日と同じように生きる」タイプの人間と「昨日と違うように生きる」タイプの人間の2種類が存在すると信じている。前者については,ビッグデータを使わなくても容易に行動を推測することが可能なので,多額の費用をかけてビッグデータを開発・利用する意味がない。単純な統計や営業社員による観察結果だけで足りるだろう。後者については,予測不能なのでビッグデータによる解析が常に徒労に終わる。
結局,ビッグデータ開発者が「上には上がいる」とは「自分とは違う人間が存在する」ということを理解しようとしないから,こういうことが起きるのだろうと思う。
賢い経営者なら,そこらへんのことをちゃんと理解していることだろう。
ちなみに,私自身は,実験として,意図的にそういったタイプのサービスの幾つかとおつきあいしてきた。例えば,Amazonからは,これまで何千通もの「お勧め」メールが届いた。しかし,その中で,現実に私の個人的な需要に適合していたのはごく数通に過ぎない。Amazonのサイト上にある個人ページに表示されるお勧め商品等も私をバカにしたようなものばかりで,逆にキレそうになるのが普通なので,基本的に見ない。
私がAmazonで書籍を探すときは,普通の検索を用いて行う。お勧めは基本的に読まない。他人の意見を押し付けられたくないからだ(実際,たいていの場合,内容的に間違っているか,あるいは,見解の相違があって賛成しがたい。)。随分と長い間おつきあいしてきた結果,日本版のAmazonの検索機能はあまりよくないという結論に至っている。100パーセント全てエンジニアの資質と能力の問題であり,その上司の無能・無策に起因するものだと思う。米国のAmazonの検索機能はかなり優れていると思う。同じような検索モジュールを用いているのだろうと推定するが,どこかが根本的に異なっているのではないかと思う。シソーラスをつくるのは理系の人間の仕事ではなく文系の人間の仕事なのだが,米国の場合,理系出身で文学の博士号をもっている人間や,逆に文系出身で理学博士の学位をもっている人間が多数いるのに対し,日本では専門領域内での更にごくごく狭いことしかわからないちっぽけな蛙のようなタイプの者が圧倒的に多いので,それによる差異も出て居るのではないかと思う。蛙を何万匹集めても決して鯰にはならない。
ビッグデータによる解析を全面的に放棄し,解析に基づく商業宣伝広告費を全部削除したら,Amazonは巨額の黒字利益を計上することができるのではないかと思う。
[追記]
あくまでも一般論だが,共同利用を目的として掲げておりながら規約変更により第三者提供するものと改訂することは,目的の変更に該当すると考える。
個人情報の本人の同意なしにはできないことなのだが,何も異議を唱えなければ同意したものとみなすとするのは,明らかに個人情報保護法の立法趣旨に反する。
こういう場合に監督官庁が業務停止命令などの措置を講ずることが期待されているはずだと一般国民は考えるかもしれないが,しかし,そうはならないだろう。
国民のためにではなく企業の利益のために監督官庁が存在するような場合には特にそうだ。
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