IBMのData privacy engine特許(US Patent 8695101)
下記の記事が出ている。
IBM Boosts Cloud Data Protection, Compliance
eSecurity Planet: November 17, 2014
http://www.esecurityplanet.com/network-security/ibm-boosts-cloud-data-protection-compliance.html
この特許の「要約」の部分には,次のように書いてある。
A computer hardware-implemented method, system, and/or computer program product determines an applicability of a data privacy regulation when transmitting data used with an enterprise project. A data privacy regulation describes regulatory restrictions on data being transmitted from a first geopolitical entity to a second geopolitical entity. A set of categorized data is used by an enterprise project, and the data privacy regulation establishes limitations on a transmission of at least one category of data, from the set of categorized data, from the first geopolitical entity to the second geopolitical entity. A first set of binary data and a second set of binary data are processed to determine if transmission of said at least one category of data from the first geopolitical entity to the second geopolitical entity is regulated by the data privacy regulation.
要するに異なる法制に服する国々の間で個人データの移動をする場合に,伝送先の法制を自動識別し,当該国の法制に適合するような形式でデータ伝送を実行するためのシステムやコンピュータ・プログラムやその方法等の総体を包括する特許のようだ。
以前,このようなプラットフォームの構築をめざしてSHIPプロジェクトというものをやってみたことがある。予算を継続して取得することができない事態が発生する可能性があることから,そのような事態の発生に備え,学術研究の基盤として関係者に声をかけ,学会として研究組織を構築することを考えた。
幸いなことに情報ネットワーク法学会を設立することができた。その後,学会の運営からは身をひいたが若い世代が育ってきているようなの,苦労して学会を設立したかいがあったと思っている。
SHIPプロジェクトのほうは,システム開発担当の小松弁護士が不慮の事故で亡くなり,私も精神的ショックを受けたり過労がたたってひどい病気にかかり,しかも,継続予算がとれなかったので,それでおしまいになってしまった。残念なことだが,私自身はお金持ちではなく,何千万円かの予算を投入し続けないと成功しないプロジェクトだったし,故小松弁護士のような稀代の天才とでもいうべき優れた人材がいないとシステムを開発できなかったので,資金途絶と故小松弁護士の死去によりプロジェクトが終了してしまうのは仕方がないことだったと思っている。
ただ,SHIPプロジェクトで狙っていたことのうちで,文字情報として成果物を構築可能なものはある。かなり限定的な分野ではあるけれども,そのような事柄については,現在,科研費等の別の予算の補助等を受けながら細々と研究を続けている。
この分野は,誰も挑戦したことのない分野なので,誰からも理解されない。しかし,研究というものは本来的にそういうもので,誰にでも容易に想到できる研究分野などというものは実は誰かが既にほぼ完璧にやってしまっており,それを後追いするしかないようなものが圧倒的に多い。つまり,自分以外に賛同者が誰もいないような分野でなければ,新規性など最初からないというべきだろう。
生活費を削って研究を続けているような状態なので,かなり厳しいが,スポンサーが出現する見込みはないので,生涯貧乏研究者として生きることになるだろう。残念なことだが,それも運命として受け入れる。
けれども,誰も思いつかない領域や誰も手をつけていない領域に気づき,その分野に挑戦し続けることのできる資質を与えてくださった天の恩寵には感謝している。
他の人には決してマネすることのできない稀有な人生を送ることができている。
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