米国:国務長官が,AppleとGoogleに対し,暗号化された電子メール等を解読できるように捜査当局用のバックドアをつくるよう要求?
下記の記事が出ている。
US top cop decries encryption, demands backdoors
ars technica: October 2, 2014
http://arstechnica.com/tech-policy/2014/10/us-top-cop-decries-encryption-demands-backdoors/
The Switchboard: Attorney General doesn’t like tech companies’ plans for encryption expansion on mobile devices
Washington Post: October 1, 2014
http://www.washingtonpost.com/blogs/the-switch/wp/2014/10/01/the-switchboard-attorney-general-doesnt-like-tech-companies-plans-for-encryption-expansion-on-mobile-devices/
この議論は随分と古い。
プロバイダが要求に応じなければ,Snowden氏が暴露したような非合法な手段によるアクセスと暗号解読が実行される。
それを合法化する法令(Homeland Security法)について違憲との主張が続いている。
しかし,連邦政府が主張するように,暗号化措置はテロリストにとっても武器になる。
これは,私見である「戦時と平時が常に共存する状況」の顕著な実例の一つと言える。
このような状況が出現してしまったことの遠因としては,米国が軍事的・技術的優位を維持し続けることができるという錯覚に陥っていたことにあると考えている。世界中どこにでも「上には上がいる」というのが真実だ。
(余談)
「政府は悪をしない」との前提で考えたとしても実は問題がある。捜査をするのも人間だからだ。
例えば,A社とB社は互いに競争関係にある企業だと仮定する。捜査官XはA社と関係があり,捜査官YはB社と関係があるとする。Xが暗号解読の担当者になると,B社の企業秘密は裸にされるかもしれない。Yが暗号解読の担当者になると,A社の企業秘密は裸にされるかもしれない。そのようなことのできるポジションを巡って血の争いが秘密裡に繰り返される可能性はある。
また,例えば,Xが親米派でありYが親露派だった場合,更におぞましいことが発生するかもしれない。
[追記:2014年10月3日]
関連記事を追加する。
US Attorney General urges tech companies to leave back doors open on gadgets for police
Naked Security: October 2, 2014
http://nakedsecurity.sophos.com/2014/10/02/us-attorney-general-urges-tech-companies-to-leave-back-doors-open-on-gadgets-for-police/
Police want back doors in smartphones, but you never know who else will open them
Washington Post: October 2, 2014
http://www.washingtonpost.com/blogs/the-switch/wp/2014/10/02/police-want-back-doors-in-smartphones-but-you-never-know-who-else-will-open-them/
表面的な出来事はともかくとして,国防上の理由により,バックドアの設置要求が更に強化されることはあっても,除去が要求されることは絶対にない。
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