日本の古墳から出土する埴輪の髪型や衣装には非常に変わったものがある。
現代の日本では似たものがなく,中国の少数民族にもない。
古代中国の遺物の中に何かヒントはないかと探し続けている。
エジプトに源流のあるものではないかと推定されるものがいくつか見つかり,検討中。おそらく,遅くとも魏の時代にはシルクロード経由でエジプトの工人がやってきていたのではないかと推定している。服飾だけではなく,例えば,陳の王墓のプランは,全体としてエジプトやギリシアの影響を受けているように思う。
魏晋南北朝(特に南朝)の貴婦人像や菩薩像の頭部にしばしばみられる大きな冠のようなものは,古代エジプトの王冠の形状と酷似している。
関連する王朝としては,プトレマイオス朝エジプトを想定すべきだろう。プトレマイオスはアレキサンドロスの将軍の一人で,大王の死後,エジプトでプトレマイオス朝を建て,アレキサンドロスの伝記(東征伝)を書いた。曹操の魏は,非常にインターナショナルな国家で,クシャン朝との密接な交流があったとされている。仏教(ヒンヅー教)の国だったと推定される。クシャン朝は,アレキサンドロスが中央アジアを征服して入植した都市国家群の後裔だろうと推定する見解があり,私見も同意見だ。アレキサンドロスの征服政策は,古代中国における「屯田」による支配形式と非常によく似ている。
クシャン朝が支配範囲を拡大する中で,ギリシアの神々とヒンヅーの神々との接触が発生し,密教の諸菩薩や諸神将のイメージが形成され,古代中国においてその完成をみることになったのではないかとも考えられる。その内容の大半は現代の中国には残されていない(特に文化大革命の際には残存していた文化の大半が破壊され,関係者が抹殺され,その歴史が完全に消去されてしまった。)。しかし,古代中国における仏教(ヒンヅー教)の教義や関連文物の重要部分の圧倒的多数が古代の日本国に渡来し,姿を変えながらも現在まで伝承されている。いわば生きた文化化石とでも言うべきもので,世界的にも極めて貴重な文化資産ということになるのだろうと思う。
これとは別に,日本の古墳等の出土埴輪の中には婦人の非常に奇妙な髪型を示す埴輪が何種類かあり,きっと部族的な特徴を示すものだろうと思ってきた。
最近,やっとヒントらしきものにたどりつくことができた。
それは,北魏(鮮卑族)の婦人にみられる「倭堕髻」という名のヘアスタイルだ。この「倭堕髻」は,現代の学者がつけた名ではなく,当時の命名らしい。
非常に興味深い。
ちなみに「倭堕」の読みは不明だ。「ホータン」だろうか?それとも「ワタ」だろうか?
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漢代北方民族の女性の髪形の中に,日本の神社の巫女の髪型とそっくりのものがある。ほとんど同じと言ってよい。
この髪型は,垂髻,垂云髻,椎髻と同じ類型に入れることが可能ではないかと思う。
漢代の馬王堆古墳出土の舞俑にもそのようなものが含まれている。
これまた非常に興味深い。
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古代の神様の復元図等でよく見られる垂挂髻は,元は中国の女性の髪型の一種だったようだ。天照大神は,そのような髪に結い,完全武装した上で,素戔嗚神の前に立ちはだかったとある。
神様ではないが,聖徳太子像の髪型も何となく古代中国の女性の髪型の一種のように見える。
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古代の契丹族の服飾には古代日本の服飾と似たようなものが見つかることがあるが,古代女真族の服飾との類似性はかなり希薄ではないかと思う。
なお,契丹族の出自は不明だが,鮮卑族の後裔とする見解が有力なようだ。
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かくして,薬草の神様である少彦名神となった古代の「誰か」を探す旅は終盤に入った。ほぼ確信めいたものが形成されつつある。
これを確定することなしには,日本国の全学問の基礎を正しく確立することができない。現在の日本国の学問の多くは,脆い砂丘の上に立つ楼閣に過ぎない。楼閣それ自体がいかに壮麗であるとしても,ちょっとしたことで倒壊し,全崩壊する可能性が極めて高い。
日本国の全ての学者は,「常識」や「通説」を疑うという学者本来の使命を思い出すべきだ。
しかし,暗記中心で単純再生産マシーンとしての職業教員を生産するための手段である「過程博士」というシステムでは,真に才能のある例外的な人を除いては,あるべき研究者を育てることは不可能だ。単なるコピー的な大量生産装置に過ぎない。そこで生産される研究者もコピーする能力しかもっていない。最初からそのようなものとして培養されてきたからだ。廃止し,旧に復するべきだと考える。各分野にいおいて,「博士」は100年に1人くらいで良い。真に才能のある者は,それくらいの確率でしか発生しない。そもそも遺伝子の組み合わせと突然変異の確率問題なので,教育と訓練によって解決できる課題ではない。教育者は,真に才能のある者を見出し,支援し,触媒としてい機能するくらいのことしかできない。
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