羅 宗真『図説中国文明史5 魏晋南北朝-融合する文明』
下記の書籍を読んでいる。
羅 宗真(著),稲畑耕一郎(監修),劉 煒(編集),住谷孝之(翻訳)
『図説中国文明史5 魏晋南北朝-融合する文明』
創元社 (2005/11)
ISBN-13: 978-4422202563
なかなか興味深い。
日本の古墳から出土する埴輪の中には奇妙な形の帽子のようなものをかぶっているものがあり,日本の服飾史上ではちょっと類例のないものがあるので,「これは一体どこからきたのか?」と解釈に苦しむことがある。この本の中には,ヒントとなる絵画資料等がいくつかある。素人の空想に過ぎないかもしれないが,魏晋のころに渡来した人々がかぶっていたものをそのまま写実的に埴輪としたものなのではないかと思う。
魏晋南北朝のころの貴族の姿を示す絵画資料の写真の中には,まるで日本の奈良~平安時代の貴族の普段着としての服飾と全く同じものや烏帽子なども描かれており,非常に興味深い。戦争の状況を示す資料に出てくる四角形の盾とよく似たものは日本の遺跡からも発掘されている。
また,鮮卑族の古墳群(円墳郡)の図があり,これを観ていると,茨城県に現存している円墳群遺跡とそっくりで,基本的には同じようなプランにより築造されたものだということがわかる。雪をかぶってしまったら,全く見分けがつかないのではないだろうか。
環頭の太刀(直刀)も興味深い。
そして,魏晋のころの仏教関連文物の写真や西域・印度との関係などに関する資料写真や文も非常に参考になる。
良い書籍だと思う。
(余談)
「長脛彦」の「長脛」の読みについては,これまでの通説が完全に間違っており,全く別の読みも暗喩されていると考えるほうが正しいのではないかと思う。「那賀」と「須泥毘古」とは分けて読み,「那賀」は「中ツ国」などを示し(←複数の異なる意味が重複的に込められていると推定される。),「須泥毘古」が名だと思う。「祖禰彦」または「曹禰彦」または「祖根彦」または「曹根彦」かもしれない。
私見では,月読神と同一神または同一氏族だろうと思う。
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