松本健一『海岸線の歴史』
日本の古代の海岸線がどのあたりにあったのかをきちんと調べようと思い、何冊かの書籍を注文してみた。最初の1冊がAmazonから届いた。
海岸線の歴史
松本健一
ミシマ社 (2009/5/8)
ISBN-13: 978-4903908083
学術書ではないが,確かな根拠に基づいて書かれており,非常に分かりやすい。私のような素人でもどんどん読める。
お勧めの一冊と言える。
「白砂青松」が古代には存在しなかったという言説は,私もそのとおりだろうと思っている。
かつて,名古屋地裁に勤務していたころ,江戸時代に海を埋め立ててできた土地と関係する土地争いのような事件を担当したことがある。その記憶があまりにも鮮明なためか,当時から今日に至るまでずっと,頭の中でシミュレートして描く古代の海岸線の姿は常に現在あるものとは全く異なるものだった。
また,生薬の原料として中国などから多種多様な植物が日本に持ち込まれる以前には,極相林だけになっていたと推定しているので,その当時における野山の景色もまた現在の植物図鑑や野外写真集にあるようなものとは全く異なったものとして私の脳裏に描かれることになる。
文字を記録した文献資料(=作成者・筆記者の主観・想念・記憶を文字符号化した資料)だけに頼るタイプの歴史学者には理解できないことかもしれないが,しかし,学問によって物理現象を覆すことはできない。
逆に,物理現象の存在を示す物的記録から考えるほうがずっと正確な歴史学を構築できるのではないかと思っている。
次に届く予定の書籍がとても楽しみだ。
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