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2013年9月 6日 (金曜日)

風土記を読む

『出雲国風土記』を読んで論説の原稿を書き提出してから随分たつ。まだ出版されない。他の共著者の仕事が遅いのだろう。毎度こんな感じだ・・・

必要なのは『出雲国風土記』だけだったのだが,この際,よい機会だと思うようになり,他の風土記も読んでみることにした。

『豊後国風土記』,『肥前国風土記』及び『播磨国風土記』を読み終えた。『常陸国風土記』はまだ読んでいない。

非常に面白かった。とにかく,基本的には,渡来人に関する記述と対新羅戦争に関する記述が圧倒的に多い。風土記の作者らも渡来人の子孫であったのではないかと思われる。

ところで,風土記の中に記述されている様々な出来事の中で,その信憑性の有無は別として,ちょっと気になる記述が幾つかあることを知った。

一つは,『播磨国風土記』中の神前部にある小比古尼命の所業に関する記述だ。まるで生きている人のことのように生き生きと描写されている。単なる神話ではなく,その名で示される人物またはその名を襲名した長に率いられた一族が実在したのだろうと思う。

もう一つは,『肥前国風土記』中の松浦郡のところにある弟日姫子及び大伴狭手彦連の所業に関する記述だ。いろいろと考えざるを得ないところがある。

公費の予算を少し頂戴し,過去数年間にわたり「同一性識別の研究」を進めてきた。既に幾つかの論文等を業績として公開している。目下とりくんでいるある素材を使った部分研究では,所与の前提が全部間違いだということを認識し,そのような認識が間違いではないということを実証するために可能な全ての資料を読破しつつある。そうやっているうちに,風土記にたどり着いた。邦文献では確実に必要となる文献のほとんど全部を読破し尽くしているので,平行して,関係ありそうな他の邦文献と華文献と韓文献を網羅的に読破し丸暗記し続けている。

既に若くはないので,以前のような感じで数日で全部丸暗記完了というわけにはいかない。

しかし,勉強を重ね,更に先のところまで研究を進める。

所与を所与として認識・理解している限り,何も発見できない。

昔から言い古されているように,学問は所与を疑うところから始まる。

(追記)

『常陸国風土記』を読破した。

これら風土記を全部読んでみて,ターゲットの絞り方が明確になったし,今後採るべき方法論を見つけたと言える。

研究の精度が上がりそうだ。

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