風評被害対策事業者連絡会
下記の記事が出ている。
銀行から個人まで駆け込む ネット風評“掃除業”が急拡大
DIAMOND Online: 2013年8月31日
http://diamond.jp/articles/-/40991
「悪徳業者」もいるということから業界団体のようなものとして設立されるらしい。
「悪徳業者」というべきかどうかはわからないが,不正に情報を操作することが株価に重大な影響を与える場合,真実の不正行為の告発をもみ消す場合などには,イレイサー業務それ自体が,刑事上ではそれぞれの犯罪の片面的幇助となり,民事上では共同不法行為者(過失の共同の場合でも成立)として損害賠償責任を負うということにも留意すべきだろう。
この記事と直接の関係はないが,内部告発制度が無意味であることはオリンパス事件等が明るみに出たことによって明らかとなった。さりとて,ネットで告発しても消去されてしまうことになりそうだ。実力行使というわけにはいかないだろうから,結果的には,告訴・告発が増加することになるだろう。ところが,日本の警察・検察ではまともに告訴・告発を処理するだけの能力がほとんどないので,結果的に何もなされないで放置される結果となってしまうことがあり得る。
そうなると,最後は,実力行使の時代に突入せざるを得ない。
たぶん,そうなることだろう。
世間では,誰も面倒な仕事などしたくないし,正義感の強い人間は逆に煙たがられる。
(余談)
私の場合,もちろん自業自得の場合もあるが,いわれのない風評や悪口を言われることは多々ある。
しかし,ほとんど無視している。
天というものはあるものだ。
(余談2)
「イレイサー(消し屋)」は,あくまでもビジネスであり,正義感や義侠心のようなものに基づく無償の努力よって支えられているわけではないので,「金の切れ目が縁の切れ目」という格言を常に銘記する必要がある。
それゆえまた,麻薬的な部分もあると言わざるを得ない。
(余談3)
プログラムを用いてGoogle検索の結果などを変動させた場合,Googleとの関係では故意による業務妨害罪が成立し得る。
また,プログラムによる検索結果の修飾を実行すると,当該プログラム作成者の意図とは関係なしに様々な波及的効果が発生し,予定外の検索結果表示が生ずることがあり得ることはコンピュータ・プログラムを業とする者であれば誰でも知っている常識の一部に属する。つまり,このような場合,いかなる結果が生じてもその結果を引き受けるという未必的・概括的故意が常に認定され得るということになる。その結果,本来の予定とは異なる検索結果が発生し,結果的に誰かの名誉を毀損する状態が生じた場合には,その名誉毀損の結果についても刑事・民事の責任を負うということについて当然に未必的・概括的な認識・認容があると認定するしかないだろうと考えられる。
これらの場合において,当該プログラムの作成者が「Disclaimer」を宣言していても,刑事責任との関係では一切無効だ(←常識)。また,民事の不法行為責任との関係でも一切免責されない(←常識)。
結局,このような業務には非常に大きな法的リスクが伴うので,プログラムによって自動実行されるタイプの「イレイサー(消し屋)」といった類の業務は一切受注しないというのが最も良い責任回避策であることになる。
ちなみに,プロバイダが誹謗中傷文言等を利用停止にする場合においてさえ,プロバイダ責任制限法に定める非常に厳格な要件の充足が求められるのであって,この要件を満たさない場合には,責任免除という法律効果を得ることができない。イレイサーについても,同程度の要件が求められると解するのが妥当であり,サイバー法の領域に属する法律専門家でない者がこのような業務に従事するのは非常に危険だということになるだろう。
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