iPhoneに導入される生体認証(指紋認証)機能は安全性を向上させるか?
下記の記事が出ている。
If the New iPhone Has Fingerprint Authentication, Can It Be Hacked?
Wired: September 9, 2013
http://www.wired.com/opinion/2013/09/what-if-apples-new-phone-has-fingerprint-authentication/
私は,この記事を書いたBruce Schneier氏の見解に賛成できる。
要するに,生体認証一般について論じられている脆弱性はiPhoneの生体認証にも同様に存在し得る。
また,偽指紋,偽虹彩,偽静脈パターン,偽汗,偽血圧,偽DNAといった偽生体要素が現実に既に存在していることは周知のとおりだ。このような偽生体要素は,物体であることもあるし純粋に電子的なものであることもある。つまり,理論的には完全な「本人認証」はできない。できないことでも一定の処理をすればできたことにする「免罪符」としての法的機能しか社会的には意味をもたない。これらのことについては,『電子商取引法』中の第3章で詳論したとおりだ。
そして,スマートフォン固有の問題として,機械装置及びOSのバックドアの問題が全く解決されないままとなっていることのほか(←バックドアが存在しなければ機能を維持することができないことさえあるので,実際問題としてバックドアを消滅させることができない。),強力な諜報機関による高度な通信傍受から逃れることが最初からできないので,認証云々を論じてみてもそもそも全く意味がない。
要するに,すべて「葉書」と同じで,誰からも読まれる可能性があるという前提で使うのが一番よろしい。
インターネット上で秘密(機密性)を維持することは不可能な時代になってしまった。
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