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2013年9月 6日 (金曜日)

Google Gmailのアカウント宛に非Gmail利用者から送信された電子メールの内容をGoogleがスキャンすることについて送信者は事前に何の同意も与えてないのでプライバシー侵害になると主張されている訴訟の興味深い論点

下記の記事が出ている。電子通信とかかわるプライバシー保護に関するカリフォルニア州法の適用の有無が問題となっている。

 Google goes to court over Gmail scanning
 Telegraph: 5 September, 2013
 http://www.telegraph.co.uk/technology/google/10289798/Google-goes-to-court-over-Gmail-scanning.html

Googleは,この事件においても,電子メールについては「プライバシー保護の合理的な期待がないから保護されない」と主張している。

ここでいう「プライバシー」の実質的内容が問題となるが(←プロッサーの類型にあてはめてみると分かりやすい。),もし,「通信の秘密の一部である通信事業者としての守秘義務も解除される」という趣旨であるとすると,非常に面白い議論が生じ得る。

例えば,日本の通信事業者は,Googleの主張とは無関係に日本国法に基づく守秘義務を負っている。しかし,日本の通信事業者がその業務の全部または一部をGoogleにアウトソースした場合,アウトソースした瞬間に「守秘義務」を放棄し,通信の秘密を守る義務違反行為をしたことになるのではないかという疑問が生ずる。何しろ,通信の秘密を守らないと宣言している事業者にアウトソースしたことになるからだ。

この議論は,Googleの主張には「Gmailではプライバシー保護されないと宣言している以上,Gmai宛てに送信する行為は通信内容の探知について黙示の同意があることになる」との主張を当然に派生的に含んでいると解されることを理解すると,ますますもって面白い。つまり,日本の通信事業者は,そういうことになるということについて黙示の同意をしたことになるからだ。

もちろん,Googleが「探知した内容について守秘義務を負う」という前提を崩さなければ議論はまた別になる。郵便の葉書と似たような議論になるからだ。

しかしながら,もしそうであるとすれば,Googleは,Gmailが「封緘されていない葉書のようなものだ」ということを明確に分かりやすく周知するのでない限り,消費者保護関係の諸法令に明確に違反していることになるのではないだろうか?

・・・という議論が成立可能なわけだ。

とにかく,興味深い。

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コメント

himantoさん

ご指摘ありがとうございます。誤変換です。

このブログはあくまでも私自身用のプライベートなメモをどこからでもアクセス可能な状態にしているため,結果的に一般公開しているのと同じ状態になっているものです。

自宅で仕事をしながら,息抜きに傍らにあるPCでときどきニュース等のチェックをし,メモしておくべjきものがあればメモするといった感じです。

そのため,ミスタイプチェック等は基本的に一切しておりません。書きなぐりでおしまいです。そういうわけですので,誤変換や文字の脱落等がしばしばあります。

ご指摘を頂戴したときは修正するようにしています。

ありがとうございました。

投稿: 夏井高人 | 2013年9月 6日 (金曜日) 15時51分

お世話になります。
最近、RSSで読ませていただいています。
いつも貴重な情報をありがとうございます。

はなはだ些末な揚げ足取りで恐縮ですが、
「消費者保護関係の処方例」とあるのは、
もしかすると「諸法令」ではございません
でしょうか。

意味合いとしては、どちらもあり得るような
気もするのですが…

なお、このコメントは公開されずに消して
いただいてかまいません。

投稿: himanto | 2013年9月 6日 (金曜日) 15時37分

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