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2013年8月25日 (日曜日)

集団自衛権

下記の記事が出ている。

 集団的自衛権行使へ新法検討 国会承認義務付け
 共同通信:2013年8月25日
 http://www.47news.jp/CN/201308/CN2013082401001866.html

「集団自衛権」というから分からなくなる。分からなくしたいのだろうと思う。

端的に「米軍との共同軍事行動」と言えばよい。

もちろん,憲法改正が必要となるので,憲法改正ができないのであれば,このような法案それ自体が憲法違反ということになる。その結果,憲法遵守義務のある国会議員としては,このような法案を提案・審議することはもちろんのこと考えることも許されないという解釈論しか成立しない。

私は,護憲論者でも改憲論者でもない。憲法は,国家統治のための基本原理として国民の半数以上の者が承認(集団的に合意)した基本方針なので,その承認(集団的合意)が変動すれば,当然,「憲法」という成文法も修正されなければならないと思っている。

この修正は,理論的には,例えば,憲法9条を更に強化して自衛権を否定する方向での修正もあり得るし,その反対もあり得る。そのどちらが正しいとか正しくないとかではなく,多数派が国家の秩序を支配するのは政治学上の当然の理なので,どちらが多数であるかだけが重要で,少数意見はもちろん無視される。

憲法の改正の要否は,憲法遵守義務のある公務員(国会議員を含む。)が考えることは許されないので,公務員ではない国民が考えるしかない。

というわけで,現行の憲法は,まともに法解釈する限り,基本的に「絶対に誰にも改正できないように」上手に設計されている傑作の一種なのだということを理解することができる。

(余談)

「米軍との共同軍事行動」とせず,「集団的自衛権」と表現する場合の問題点は,歴史を知っている者であればすぐに理解することができる。

かつて,日本は日英同盟を捨てて日独伊三国同盟へと走った。この事例を「集団的自衛権」にあてはめてみると,「日英共同軍事行動」は集団的自衛権の一種であったことになるし,日独伊共同軍事行動も集団的自衛権の一種であったことになる。

だから,もし私が米国国防省のトップであるとすれば,当然,そのような大転換が起きないような名称の法案とするように圧力をかけることになるだろう。そうしないと,あくまでも理論的には,例えば,将来,日米同盟を捨てて日中同盟に走ったとしても,それも集団的自衛権の一種であることになると法解釈すべきことになるからだ。米国以外の国との同盟を組ませないためには,米国としては,「集団的自衛権」という一般名詞を使うことを抑制するように国際的政治的圧力をかけると同時に,日米軍事行動のみが共同でなされるように同様の圧力をかけざるを得なくなる。そうしなければ,米国の重大な国益を損なうことになる。

私は,問題の法案の可決を密かに期待しているのは,実は,保守派よりも,社会主義または共産主義を是とする政治的グループのほうではないかと思っている。

保守派の人間は「日本国において社会主義または共産主義が優勢になることはない」と信じているのだろうが,これは,「日本においては原発が破壊されるような大きな自然災害はない」と信じていた人々と同様,全く根拠のない自信の一種に過ぎない。

「状況」というものは,いかようにも変化するものだ。

[追記:2015年9月3日]

関連記事を追加する。

 安保法案、元最高裁長官「違憲」 政府説明「論理的矛盾」
 共同通信:2015年9月3日
 http://www.47news.jp/CN/201509/CN2015090301001488.html

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