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2013年8月20日 (火曜日)

ドイツ:Bitcoinを得ることは所得に該当するとして,課税の方針?

下記の記事が出ている。

 Germany recognizes Bitcoin as a “private money,” subject to capital gains tax
 ars technica: August 19, 2013
 http://arstechnica.com/tech-policy/2013/08/germany-recognizes-bitcoin-as-a-private-money-subject-to-capital-gains-tax/

 Bitcoin now 'unit of account' in Germany
 Guardian: 19 August, 2013
 http://www.theguardian.com/technology/2013/aug/19/bitcoin-unit-of-account-germany

いろいろと難しい問題がある。

対価を支払ってBitcoinを取得する場合(両替,売買,交換など),各国の税法に従い,譲渡者または譲受人(法制によってはその双方)が課税されることがある(例:商品の売買と同視される場合には,少なくとも譲渡者には消費税や取引税が課税されることがある。)。

対価を支払わないで無償でBitcoinを取得する場合(贈与,相続など),各国の税法に従い,贈与を受けた者には贈与税が,相続を受けた者には相続税等が課税されることがある。

Bitcoinを新たに製造または生成する場合,本来,それだけでは何の価値も産み出していないと思われるが,考え方及び各国の法制により,生成したBitcoinを保有する者について例えば固定資産税等が課税されることがある。

Bitcoinが通貨類似の私製貨幣であるとした場合,銀行券等の発行権限に関して各国の中央銀行のみに限定するかどうかについての各国の法制に従い,違法物として処罰の対象になることがあり得る。

ドイツの税務当局の考えは,私製通貨としてとらえながら,それを違法とはせず,課税するというわかりにくい考え方をとっていることになる。より正確には,租税法律主義の原則からすると課税根拠法律が存在しなければならないのにそれが存在しないため,別の課税根拠法律の解釈論で乗り切ろうとするから無理が生じているという状態なのだと思われる。

一般に採用されている考え方は,Bitcoinのような電子マネーは,電子的なバウチャー(金券)の一種という考え方なので,電子的な物品の製造,譲渡,取得という扱いで考えるのが普通なのではないかと思う。

他方,理論的には,電子マネー一般というのであれば債券という構成もあり得るだろう。しかし,Bitcoinに限定すると,発行者は発行されたBitcoinについて何も責任を負わないので,債券だとは認め難い。

私見によれば,Bitcoinは極めて汎用性の高い金券の一種であり,歴史・経済的観点からみると,かつて,大英帝国の銀行において銀行券(金兌換券)が私製通貨として発行された時代と同じことが現代のインターネット上で世界規模で起きているのだろうと思う。銀行家は,私製通貨である銀行券の発行と販売によって官製の正規通貨を大量に集め,投資に回すことができる。この場合,銀行券の発行総額に対応する金が現実に保管されているのだとすれば,銀行券と金との交換を求めて取り付け騒ぎが起きても何も問題が生じないが,実際には金が保管されておらず,担保のない債券のような状態であったため(←見方を変えれば,金の裏づけのない投資詐欺のようなものだったと考えることもできる。),多数の銀行が破綻して倒産する結果となった。

もしネット上ではそのような極めて汎用性の高い私製通貨類似の金券の発行が許されるとすれば,理屈の上では,誰でもかつて銀行が私製通貨としての銀行券を発行することができた時代と同様に,官製の正規通貨との交換によりそれを大量に集め,大金持ち(大銀行家)となることが可能となるはずだ。

しかし,現在,非常に多くの国で一般銀行による私製銀行券の発行を禁止し,中央銀行によって発行される官製の正規通貨のみを合法的なものとしているから,誰も「これは私製銀行券だ」とは言わない。だから,そのようなものを肯定的にとらえようとする立場の人々は,「私製通貨ではないこと」を前提とした理論構成に苦慮しているのだ。

なお,Bitcoinとは無関係だが,「銀行券の発行行為に対しては常に課税されるべきだ」とすると,「国家の中央銀行によって官製の正規の銀行券が発行される場合には,どうして課税されないのか」を合理的に説明できないといけないだろうと思われる。しかし,それは「所与の前提」であり,「国家が自分自身に課税することはない」と誰もが思い込んでいるため(←どちらの前提も本当は間違っている。),まじめに理論研究をしている研究者は,世界的にみてもほとんどいないように思われる。たとえ法律によって課税されないこととされている場合であっても,「そのような課税免除法律がどうして合理的だと言えるのか」について真剣に検討されたためしがない。しかし,電子通貨について統一的に理論を構築しようとするのであれば,これらの問題についての検討を避けて通ることができないだろうと思う。

そして,これらの問題についてまじめに考えれば考えるほど,ある一つの結論へと収束することになるのだ。

[追記:2013年9月6日]

関連記事を追加する。

 Bitcoin dealers seek official regulation for digital tokens
 Guardian: 5 September, 2013
 http://www.theguardian.com/technology/2013/sep/05/bitcoin-dealers-regulation-downing-street

[追記:2014年3月5日]

関連記事を追加する。

 ビットコイン、課税対象=法的位置付けを明確化-政府
 時事通信: 2013年3月5日
 http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2014030500397

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