児童ポルノ関係の情報交換サイトで知り合い児童ポルノ画像を電子メール等で交換していたとの容疑で大学教員が逮捕
下記の記事が出ている。
女児の裸画像 メールで交換 容疑で准教授ら逮捕
中日新聞:2013年7月12日
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2013071290231518.html
なお,児童ポルノに関しては,「公然性」が要件として要求されていないので,個人間の電子メール添付等による「提供」行為も違法行為となる。
[参考:児童買春・児童ポルノ禁止法]
第7条(児童ポルノ提供等)
1 児童ポルノを提供した者は,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も,同様とする。
2 前項に掲げる行為の目的で,児童ポルノを製造し,所持し,運搬し,本邦に輸入し,又は本邦から輸出した者も,同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で,同項の電磁的記録を保管した者も,同様とする。
3 前項に規定するもののほか,児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより,当該児童に係る児童ポルノを製造した者も,第1項と同様とする。
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し,又は公然と陳列した者は,5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も,同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で,児童ポルノを製造し,所持し,運搬し,本邦に輸入し,又は本邦から輸出した者も,同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で,同項の電磁的記録を保管した者も,同様とする。
6 第4項に掲げる行為の目的で,児童ポルノを外国に輸入し,又は外国から輸出した日本国民も,同項と同様とする。
第2条(定義)
1 この法律において「児童」とは,18歳に満たない者をいう。
2 この法律において「児童買春」とは,次の各号に掲げる者に対し,対償を供与し,又はその供与の約束をして,当該児童に対し,性交等(性交若しくは性交類似行為をし,又は自己の性的好奇心を満たす目的で,児童の性器等(性器,肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り,若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者,未成年後見人その他の者で,児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
3 この法律において「児童ポルノ」とは,写真,電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって,電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって,次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
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コメント
立山紘毅 先生
法律家の中でゲーデルを読んで理解している人は滅多にいないだろうと思います。
警察官の中では(公安関係などのごく少数の人を除いては)皆無に近いでしょう。
哲学も論理学も全部スルーしちゃわないと司法試験や公務員試験や就職試験等に合格したり,大学院で学位をもらったりできないという何とも奇妙な時代になってしまいました。
空脳化政策の極みですね。
この政策は成功しているように思います。
石を投げれば空脳に当たります。
投稿: 夏井高人 | 2013年7月14日 (日曜日) 07時08分
>ちなみに,電子犯罪に関しては,非電子的証拠のみで立証可能かというテストが必要
>だということは既に何度がこのブログの中でポストしてきました。
「ゲーデル(一発目では「ゲー出る」と変換された(^^;)の不完全性定理」ないし「自己叙述の命題」ですね。体系性を同じくする論理体系内部では証明は完結しない、というきわめて自明なことなんですがね。
投稿: 立山紘毅 | 2013年7月14日 (日曜日) 01時30分
立山紘毅 先生
私も何で興奮するのかよく分かりません。
好き好きとはいえ・・・
ちなみに,電子犯罪に関しては,非電子的証拠のみで立証可能かというテストが必要だということは既に何度がこのブログの中でポストしてきました。
論理的な自己矛盾を避けるためには,捜査機関としては私見のテストを受け入れる以外にないと理解しています。
きっと無視されますけどね。
なぜなら「自分だけは例外」の法則が妥当すると信じているからです。
というわけで,世間で「論理」など通用するわけがありません。
投稿: 夏井高人 | 2013年7月13日 (土曜日) 23時46分
夏井高人 先生
幼児の裸画像のどこに性的興奮を覚えるのかよくわかりません。もっとも日本人形の金太郎さんは「裸」ですけど、あれは健康な成長への祈りなんで、あれに興奮を覚えるとは神経細胞の回路がどっか変、としか言いようがないんですが……それはおいといて。
私らのところでも時折騒ぎが起きます。つい先日もセクハラ騒動でした。こう言ってはなんですが、リスク・マネジメントの観点からは、一定程度の人間集団が一定時間を経過する中では、一定確率でそうした事象が発生することは不可避、と諦めて淡々と処理するしかないのだろう、と思っていました。ごりごりのフェミニストからはこっぴどく叱られそうですが。
本当に杜撰な条文だと思います。例の「法律実務」に書いたことがありますが、「衣服の一部をつけずに」って、どこをどれだけつけないと問題になるのかわかりませんよね。「一部」だから半分未満、という扱いがなされている分野もあるようですが、戒律の厳しいイスラム諸国で女性が頭や顔にはきっちり黒いヴェールを付けているというのに、スカートはシースルー、おまけに下着は大胆なTバックでばっちり、という写真を見てのけぞりました。ひょっとしたら、抵抗の証かもしれませんが、これで石打の刑にされたわけでもないようなんで。
安藤美姫さんのことといい、セックス・シンボルに対する男どもの支配欲のひどさは、自分も男ながら(といっても、ほぼ枯れ果ててますが)いやになります。この条文などを見ても、結局は男の支配欲を別の形で表しただけ、なぁに、テレビをつければ女衒の操る小児ポルノがいやというほど朝から晩までやってるじゃないか、どっちが表でどっちが裏か知らないが、ひとつながりよ、としらけた気分で眺めています。
そういえば、私らのところでずいぶん昔あった事件で、学生が若気の至り、お互いに「俺はこんなスゴイのを持っている」とネットで見せあっこしていたら、後始末をうっかり忘れて、それをまためざとく見つけた馬鹿者が2ちゃんねるにいて(というか、今思うに、ひろゆきがいつも監視していたらしい……表沙汰になるや、すぐに私に「祭りへのお誘い」が来ましたから)大騒動になったことがあります。
過失犯を罰する構造になっていないのは間違いないと思いますが、じゃあ、外部からバックドアと「ウィルス」を仕込んで、こっそりと個人ファイルを探索して自動的にそれらしいファイルを掲示板等へばらまくような仕掛けを作った場合、単なる併合罪なんでしょうか? まさかとは思いますが、何があるかわからんご時世ですから。
投稿: 立山紘毅 | 2013年7月13日 (土曜日) 21時28分