厚生労働省:体内埋め込み型心臓ペースメーカーが電気自動車充電装置の影響を受けて誤作動するおそれがあることについての注意喚起
下記の記事が出ている。
心臓ペースメーカー、電気自動車急速充電器で誤作動恐れ 厚労省、注意文追加指示
産経ニュース:2013.6.26
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130626/trd13062621550009-n1.htm
厚生労働省担当課からの通知は下記のところにある。
電気自動車の充電器の電磁波による植込み型心臓ペースメーカ等への影響に係る使用上の注意の改訂について
薬食安発0319第3号
薬食機発0319第1号
平成25年3月19日
厚生労働省医薬品食品局安全対策課長
厚生労働省医薬品食品局審査管理課医療機器審査管理室長
http://www.info.pmda.go.jp/mdevices/file/md2013-0319001.pdf
この通知によれば,下記のとおりの措置を講ずるべきものとされている。
1. 植込み型心臓ペースメーカ等の添付文書の【使用上の注意】の「重要な基本的注意」の「家電製品・周辺環境等に関する注意」欄に、以下の内容を記載すること。
電気自動車(プラグインハイブリッド車を含む。)の充電器が、本品のペーシング出力に一時的な影響を与える場合があるので、以下の点に注意するよう患者に指導すること。
(1)電気自動車の急速充電器は使用しないこと。
(2)急速充電器を設置している場所には、可能な限り近づかないこと。
なお、不用意に近づいた場合には、立ち止まらず速やかに離れること。
(3)電気自動車の普通充電器を使用する場合、充電中は充電スタンドや充電ケーブルに密着するような姿勢はとらないこと。
2. 既に植込み型心臓ペースメーカ等が植込まれている患者に対しても同様の注意喚起がなされるよう、上記1の内容に関して、患者手帳への追記や情報提供文書の配布等の適切な措置を講ずること。
[雑感]
電磁波の発生源は電気自動車の充電施設だけに限られない。現代社会は電磁波に満ちている。複数の発生源が競合している電磁波による複合汚染的な事態を正しく予見し,もっと厳格な対応をとるべきだと考える。
一般に,ある特定の種類の機器類に対する電磁波の影響を検査・検討する場合,当該機器類を他の電磁波からの影響を受けない隔離された場所に置いて検査等を実施する。そうしないと正確なデータを取ることができないからだ。しかし,このことは,論理必然的に,他方において,現実の応用製品は他の電磁波からの影響を重複して受けている環境にあるということを当然の前提としていることにもなる。したがって,隔離された環境における検査結果だけに基づく安全性基準は,実は最初から根拠のないものだということになる。電磁波の複合汚染のような状況を想定した安全基準を策定しなければならない。そのことを理解できない者は,「馬鹿の壁」の一種のようなものだと断定してよい。
実は,同じことは,電磁波に限らず,化学物質・汚染物質や騒音・振動その他の物理現象についても同様に妥当する。国の安全基準の多くは,その意味で(自然科学及び論理学という観点からの評価としては)ほとんど何も根拠のないものばかりだと考えている。裁判所は,単一の安全基準のみを判断根拠として労災事件その他の損害賠償請求事件等における判断をすることが珍しくない。しかし,判断基準そのものが実は上記のような意味であまり根拠のないものだということを正しく理解することのできる非常に優秀な裁判官であれば,本当は何も根拠のない安全基準のみを前提にして判断するといった「馬鹿の壁」に類するような間違いを犯すことはないだろうと思う。
[雑感2]
文脈は全く異なるが,心臓ペースメーカーなどの機器類が電磁波攻撃のターゲットとなり得ることを公式に認める通知でもあることになると考える。
推定では,既に存在しており,現実に使用されているものと思われる。
電磁波兵器に対する法的規制の強化が急務であることはこのブログでも何度も述べてきたとおりだ。
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