DDoS攻撃は本当は増えているのか?
下記の記事が出ている。
DDoS Attacks: Growing, but How Much?
eSecurity Planet: April 26, 2013
http://www.esecurityplanet.com/network-security/ddos-attacks-growing-but-how-much.html
基礎とする数字をどのように設定するかによって,増減の評価が異なってしまうことがあるのは当然のことだろう。
また,単純な数値だけでは社会的影響を評価することができないという点にも留意しなければならない。例えば,個人の私的なPCがDDoS攻撃によって使用不能にされてしまった場合と,非常に重要な業務処理をするためのPCが同程度の分量のDDoS攻撃によって使用不能にされてしまった場合とでは,それぞれの攻撃の結果として生ずる経済的損失等が大きく異なる。この場合,経済的損失を考慮に入れなければ,DDoS攻撃が増加しているとは言えないが,経済的損失を重視すれば,DDoS攻撃(による被害)が増加していることになるだろう。つまり,定量的なものだけに基づく評価であるか定性的な要素を考慮に入れた評価であるのかによって,結果が異なる。
更に,定性的な要素は,経済的損失にとどまらない。社会的に重要な者(個人,企業,政府などを含む。)に対してDDoS攻撃がなされた場合,それがない場合と比較すると,仮に経済的損失がゼロであったとしても,社会的には非常に大きな変化があったことになるし,社会的にはDDoS攻撃が増加したと評価されることになるだろう。
このように,「増減」とは,実は,(少なくとも社会現象としては)単なる算数ではないことがある。
今日の統計学等が抱える最大の内在的問題点(欠陥)がここに示されていると言ってもよい。
したがって,単純に数字を比較するだけ,あるいは,数字に基づく他人の評価を認識するだけ(他人の評価に依存するだけ)ではだめで,常に自分自身の頭でデータを解析し,理解し,その数字がもつ社会的意味を考察し,評価し,判断する必要がある,という余りにも当たり前の結論だけが正しいということになる。
データ解析等をパブリッククラウド等にアウトソースすることによる危険性は,このような観点からも理解すべきものだろう。
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