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2013年2月 4日 (月曜日)

英国:警察当局が,既に死亡した児童の個人データを収集し,その個人データをもとに偽のパスポートを作成して捜査活動や諜報活動

下記の記事が出ている。

 Police spies stole identities of dead children
 Guardian: 3 February, 2013
 http://www.guardian.co.uk/uk/2013/feb/03/police-spies-identities-dead-children

このような例は,英国諜報機関だけではなく,どの国の政府でも日常的にやっていることの1つであるし,当然のことながら犯罪組織も普通にやっている。

2つの問題の組み合わせから構成された問題だと言える。

1つは,組織のトップが「悪」である場合には,マネジメントシステムが「善」のためには機能しないという問題だ。国が「悪」をなす場合には,誰もとめられない。マネジメントシステムがあればそれだけで個人データが守られるなどと考えるのは,相当に頭の悪い人間だ。

もう1つは,本質的には個人識別はできないという問題だ。日本の戸籍法でもそうなのだが,最初の根拠は何らかの「出生申告(日本では出生届出)」だけなので,そもそも根拠になっているとは言えないのだ。

そういうわけで,目の前にいる誰かが本当は誰なのかを保障する方法はないと言える。

これをもっと敷衍すると,あくまでも一般理論としては,特定の個人の存在を完全に証明する方法は存在しない。

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(余談)

出版されないかもしれない書籍(M教授編集)の分担執筆原稿としてK出版社に提出したまま2年半以上経ってしまった原稿の中に書いてあることなのだが,出版されないかもしれないので,少しずつこのブログで内容を披露したいと思う。

本人確認のために法令で定めている事柄の大半は,本当は何も信頼性がない。つまり,原理的に本人確認はできない。

「個人」の本質は,あるヒト個体に関する「記憶」に過ぎない。実体を反映するものではない。

したがって,実体とは全く無関係な「主観的評価結果」としての「本人」を考える場合,「記憶」の吟味が必要となり,そのための具体的かつ画一処理のための手段として戸籍や身分証明書等が存在する。これらは本質的に主観的評価結果に過ぎないので,客観的な証明手段とはなり得ない。

以上を踏まえると,別の応用理論を発展させることができる。それは,「全て嘘である」ということを前提にした上で,嘘の性質や程度などを測定するというアプローチだ。ここでは,「真実性の証明」という願望を放棄している。

(あくまでも理論的には)諜報機関は,ビッグデータをハイジャックすることにより,様々なことをすることができるのだが,例えば,既に病死しているMariaに関して,その死を悲しむちょっとしたつぶやきがビッグデータ内に記録の断片として残されていたというような場合を想定してみると,諜報機関は,Mariaであるとして発行されたパスポートの信頼性を評価する手がかりを得ることができることになる。この場合,証明の対象は,「真実性」ではなく,「虚偽性の程度」とすることがデータ利用のポイントであり,誰も信じないという原則を常にベースにしていることが重要だ。なぜなら,当該ビッグデータが既に敵国によってハイジャックされデータの書き換えがなされているかもしれないからだ。

そして,このことは,電子的なデータだけにとどまらない。

生体脳内にある記憶の書き換えが技術的には既に可能となってしまっている以上,リモートで人の生体脳内の記憶が書き換えられるような事態(=「本人」としての同一性に関する意識や認識が書き換えられてしまう事態)が発生し得る。詳密に書き換えるのが困難でも,少なくとも記憶の破壊・混濁が生ずるようにしてしまうための方法は,すでに確立された技術として存在している。

現代社会は,そのようにして存在している。

法学者の大半はそのようなことはないという前提でものごとを考えているし,この私は「マッドサイエンティスト」の一種として扱われているかもしれない。

しかし,既にそうなのだ。

自分の「意思」が「自分の意思である」ということを証明することができない。

それゆえ,法学における基礎理論の大半は既に有用性を失っている。

ほぼ全面的に書き換えられなければならない。

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(余談2)

デカプリオ主演の映画『Catch Me If You Can』を思い出した。

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[追記:2013年2月6日]

関連記事を追加する。

 Second police spy unit stole dead children's IDs
 Guardian: 5 February, 2013
 http://www.guardian.co.uk/uk/2013/feb/05/two-police-units-dead-children-ids

英国はひどい国だと思ってしまう人がいるかもしれないが,私は逆だ。健全性を維持している。どこの国でも平気でやっていることなはずなのに,全て機密とされ,暴露すると処罰または消去されてしまう。英国では,国民に対して情報提供がなされている。

私は,嘘という名の砂漠の上に法理論を構築してもまるで意味がないと思っている。しかし,現実には,IDや本人確認等と関連する法学論文の中には,そのような意味で砂上楼閣に過ぎないものが非常に多い。嘆かわしいことだ。

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