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2013年1月28日 (月曜日)

音楽ファイルだと思ってダウンロードし開いてみたらびっくり箱だった場合・・・

不正指令電磁的記録に該当するかもしれない。

条文を素直に適用すると,そうなる。

[参考]

第168条の2(不正指令電磁的記録作成等)
1 正当な理由がないのに,人の電子計算機における実行の用に供する目的で,次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し,又は提供した者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
 一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず,又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
 二 前号に掲げるもののほか,同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2 正当な理由がないのに,前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も,同項と同様とする。
3 前項の罪の未遂は,罰する。

※ 適法なコンテンツと違法なコンテンツが混在している環境であるのに,違法なコンテンツしか存在しないと認識し,そのような前提で,警告文のようなコンテンツ(予期せぬびっくり箱)を仕掛ける場合,「正当な理由」があるとは言えないことがある。特に,適法なコンテンツのシェアリングをしている適法な利用者をだまして驚かせる行為については,いかなる意味においても「正当な理由」がない(←適法なコンテンツの中には,例えば,他人の著作物であってもクリエイティブコモンズの条件に従っている限り適法に利用することができるものなどを含む。)。

※ 「サイバー犯罪の研究(二)」の中でも触れているとおり,マークアップ言語で書かれた文やスクリプト等も立派にコンピュータプログラムに該当する。

※ 不正指令電磁的記録に該当しない場合でも,当該環境に混乱を生じさせる行為は,業務妨害罪を構成することがある(ちなみに,通説・判例は抽象的危険犯説を採用していると一般に理解されているが,私見は若干異なる。この点については,「サイバー犯罪の研究(一)」の中で触れた。)。

※ 当該環境内にどれだけ違法コンテンツがあるかを調べるための方法は限定されている。調査方法によっては,通信の秘密を侵害する罪に該当することがある。

[追記:2013年1月30日]

※ 当該ファイルが画像ファイルなどそれ自体としてはコンピュータプログラムであるとは言えない場合でも,その画像ファイルの中にビーコンなどのトラッキング機能が組み込まれている場合には,立派に不正指令電磁的記録に該当し得る。また,そのよう場合,事案により,行政庁との関係では行政機関個人情報保護法違反の問題が,権利保護団体等の私人との関係では個人情報保護法違反の問題が生じ得る。そして,最大の問題は,特定の権利保護団体等について個人情報保護法違反の問題が生じる可能性がある場合において,その団体に対する監督をすべき主務大臣が所属する行政庁が当該権利保護団体と共同でビーコンなどを組み込んでトラッキング機能やスパイ機能をもたせたファイルを放流するといった行為を実行するといった事例では,主務大臣自身が加害者の共犯者になっているために,絶対に行政監督が実施されないという最悪の事態が発生することだ。解決しようがない。これもまた現行個人情報保護法の致命的な欠陥の一つだ。要するに,主務大臣が加害者(または加害者の共犯者)である場合を想定していない。

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