米国:他人の位置情報をひそかに探索することのできるアプリをストーキングアプリとして禁止する法案
下記の記事が出ている。
'Stalking apps' could be banned in US
BBC: 14 December, 2012
http://www.bbc.co.uk/news/technology-20726807
Senate committee votes to ban “stalker apps”
ars technica: December 14, 2012
http://arstechnica.com/tech-policy/2012/12/senate-committee-votes-to-ban-stalker-apps/
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コメント
集団ストーカージャーナリストさん
EUでは現時点で既に原則禁止となっています(電子通信プライバシー指令及びこれに基づく加盟各国の法制)。
米国とEUとでは法制が異なるという根本問題がありますが,それ以上に,米国では「自分のことは自分で守る」という考えが非常に強く,政府による規制を嫌います。要するに,問題があれば使わなければよいのだし,損失が発生したら遠慮なく訴訟を提起して損害賠償金をむしりとってしまえばよいわけで,その結果として企業が倒産したとしても,これまた当該企業の自己責任ということになります。
ただ,一般消費者に「自己責任」を要求することが理不尽である場合もあり,消費者保護という観点から規制を求める声は,プライバシー保護団体等から強く出されています。
そして,米国の上院議員の多くは非常に優秀な弁護士なので,もともと法律及び立法に精通しているということもありますが,それぞれの出身母体であるローファームが議員の活動をバックアップしているので日本の普通の国会議員とは全く比較にならないくらいの立法能力を有しています。加えて,米国連邦議会議員は,目立つ法案を提案して選挙民にアピールすることにより,次の選挙での得票を固める努力をしなければならないということをよく知っています。そういう文化的・社会的文脈の中で理解してください。
なお,仮にこの法案が可決されたとしても,国防目的及び犯罪捜査の場合は100パーセント確実に例外となります。国の安全及び治安の維持ができなければ個人の私生活の安全を確保することもできません。
このことは,日本を含め世界中どこでも同じです。つまり,国防目的及び令状による犯罪捜査の場合には,ほぼ常に例外的取扱が認められることになります。犯罪捜査の場合,捜査機関による権力の濫用を防ぐために令状主義の原則がありますが,国によってはそうでないところもあるので,本当に考えるべきことは令状主義を含めた「基本的人権の保障」や「法の支配」や「民主主義」が実質的に確保されているかどうかというあたりにあると考えています。そうでなければ,国防目的や犯罪捜査目的での通信傍受を批判することさえ許されなくなってしまいます。
投稿: 夏井高人 | 2012年12月15日 (土曜日) 11時19分
先生こんにちは。
DV被害者やギャングストーキング被害者には朗報ですが、今まで野放し常態だったのは諜報機関や軍の令状無しの監視活動や違法な盗聴を中和させる為にあえて野放しにしていた可能性がありますね?
自身が思うには
911テロ以降世界的に国民を監視する、傾向が強くなっていますが先生のご意見をお聞かせ頂いたら幸いです。
投稿: 集団ストーカージャーナリスト | 2012年12月15日 (土曜日) 10時53分