Google検索世代は知能が大幅に劣化するとの研究結果
下記の記事が出ている。
The internet is leaving children brain-dead: Inventor warns 'Google generation who spend life in front of screens are losing creativity and skills'
Daily Mail: 25 December, 2012
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2253170/The-internet-leaving-children-brain-dead-Inventor-warns-Google-generation-spend-life-screens-losing-creativity-skills.html
当然の研究結果だと思う。
Google以前の世代がGoogle検索をあくまでも手段として用いるのとは全く異なった状況となっているということを理解すべきだろう。
あまりにも簡単なこと過ぎて説明を要しない。
問題は,そのようなものとして脳組織を構成してしまった世代については,従来考えられているような意味での「教育」によって思考能力を与えることが不可能だという非常に重大な問題が存在していることを正しく認識・理解することだ。
文科省の担当者やいわゆる教育学者等が普通に考えているようなことでは,全く歯が立たない。はっきり言って,完全にout of dateとなってしまっている。だから,何をやっても常に失敗する。
じゃあ私はどうするかというと・・・学生に対する教育に関しては,かなりの部分について,既に諦めている。無駄なことはしない。そして,今ある能力の萌芽を見つけ出し,それを伸ばしてやることくらいしかできない。いつか役にたつかもしれないからだ。
[追記:2012年12月27日]
関連記事を追加する。
Inventor warns of danger of "Google generation"
Telegraph: 26 December, 2012
http://www.telegraph.co.uk/technology/news/9766347/Inventor-warns-of-danger-of-Google-generation.html
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(余談)
以下は,あくまでも空想的な仮説の一つに過ぎず,大脳生理学等の知見に基づくものではない。
メインとサブで考えてみる。
人間の脳はプログラムとデータとが一体となったデータ駆動型の仕組みになっているという前提で,脳の構造と機能と性能も一体化して理解することにする。
さて,Google検索とは無関係に既に知能の体系が形成され終わっている人にとって,Google検索は「窓」のようなものであり,その窓の外にある電子情報は「辞書」の一種として,外部記憶装置のような役割を果たすことになる。
しかし,未熟な脳しか持たない者がGoogle検索に埋没しながら成長すると,メインであるべき生態脳が発達せず,本来は外部記憶の一種に過ぎないGoogle検索の「窓」の外にある世界が自己の精神世界と一体化するという現象が発生する。この場合,メインとサブとの関係が逆転しており,生態脳は,いわば一時記憶(キャッシュ)のような役割しか果たさない。それでも,当の本人にとってはそれが「思考」だと信じるしかないから,本当は自分のものではないのに,自分の思考または自分の思考の産物だと錯覚することが常態化することになる。
このような仮説に基づいて考察してみると,昨今,教育現場で問題とされている様々な現象を合理的に説明できるような気がする。
この仮説を検証するための実験方法は存在する。
それは,Googleや電子辞書等の外部記憶装置または外部記憶システムとは完全に切り離された環境を準備た上で,上記のような2種のタイプの人間をその環境の中に入れる。
次に,詳細な知識や経験がなくても論理思考によって解決可能な課題を準備し,上記2種の人間に同時に解かせる。
この場合,どちらも何らかの解を出すだろうと推測されるが(ただし,Google検索世代では一切の解を出せなくなるという結果はあり得る。),それらの解を比較検討してみる。
以上のような実験を,様々なタイプの課題について順次繰り返して実施する。
それらの実験結果を解析してみると,脳の使われ方が基本的に異なるという事実を発見できるかもしれない。
問題はそれからだ。
失われた何十年かを取り戻す方法は基本的にない。成長期を再現することができないからだ。
そこで,何か効果的な代替策を考えなければならないことになる。
この場合,インターネットは「麻薬」の一種であり,非常に精神的な依存が強い存在であることを忘れてはならない。そして,自己の「依存」に気づくことのできないタイプの者に対しては,基本的に救済策な何もないということになるかもしれない。
以上は,全て仮説なので完全に間違っているかもしれない。しかし,もし正しいとすれば,人類の未来は,そのような者が多数を占めているという事実を無視することができないので,そのような未来像に即した何らかの政策論を構築しておく必要はあるのではないかと思う。
もちろん,独裁者になろうと思っている者や新興宗教の教祖等にとっては非常にやりやすい時代になったということも言える。
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