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2012年12月28日 (金曜日)

英国:FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを通じたハラスメントや誹謗中傷などの犯罪行為が激増しているため,そのような状況に対応するための検察官の捜査・起訴ガイドラインが策定された

下記の記事が出ている。

 Huge rise in social media 'crimes'
 BBC: 27 December, 2012
 http://www.bbc.co.uk/news/uk-20851797

 DPP launches public consultation on prosecutions involving social media communications
 CPS: 19 December, 2012
 http://www.cps.gov.uk/news/press_releases/dpp_launches_public_consultation_on_
prosecutions_involving_social_media_communications/

DPP(検事総長)の文書では,留意点として,次の事項があげられている。

 1) Communications which may constitute credible threats of violence
 2) Communications which may constitute harassment or stalking
 3) Communications which may amount to a breach of a court order
 4) Communications which do not fall into any of the above categories and fall to be considered separately i.e. those which may be considered grossly offensive, indecent, obscene or false.

意味論(特に文脈理解)を含むものなので,非常に難しい問題が含まれている。

しかも,人間の脳機能(知性)は一様ではなく,かなりの偏りがあるだけではなく,言語そのものも実は何ら共有されることなく各自孤立的に存在している。この点は,従来の言語理論に根本的な誤りがある。本当は,全ての人々が『星の王子様』の最初のほうに出てくる小さな星の孤立した住人と同じだということはこれまで何度も述べてきた。

その結果,加害者(被害者)の主観的意図はもちろんのこと,その違法性・適法性の境界判断基準(主観的判断基準)もまた,区々になる。

世界(社会)はそのようなもの(本当は会話が成立し得ない個体の集合である構造体)として構成されている。

ただ,法制度が形成され始めた時代には,人々は小さな村でのみ暮らしていることが多かったので誤差が少なかったことは事実だし,大きな軍事力をもつ権力者(皇帝,国王,領主等)には逆らいようがなかったので,事実上,権力をもつ側の理解や解釈が強制可能となっていたという事実上の状態が存在したのに過ぎない。しかし,実は,どこにも「正義」は存在せず,全て相対的なものだと理解するのが正しい。

現在のグローバルなソーシャルメディアは,このようにして発展してきた法制度上の基本理念を維持可能な環境の中にあるのか,そうではないのか,そこらへんが最も重要な問題となるのではないかと思う。

その際に大事なことは,自分が依拠する価値観や世界観等を全て否定する立場からものごとを考えてみることのできるだけの十分かつ柔軟な知的能力を有しているかどうかなのだが(←能力不十分なままで実行すると,最悪の場合,自己の人格の崩壊を招くことがあるので,一般の人には勧められない。),そういうあたりについてはかなり悲観的な見通ししかもてない。

なぜなら,「根拠のない自信」の一種であるのに過ぎないのに,自分の価値観だけが最も正しいと主張して絶対に譲らない古びた法律家があまりにも多過ぎるからだ。彼らの多くは「所与」を疑う能力を欠いており,少なくとも哲学者には向いていない。おそらく,(ダーウィンの意味での)環境への適応の一種であり,遺伝子または器質に基づくものなので修正はできない。

そういうわけで,サイバー法を標榜する研究者の一員として,私は,サイバネティクスに関する研究を更に深めようと思う。来年は,いよいよ何らかの専門雑誌等の上で論文を公表することができそうだ。

この関連で私が一番最初に書いた文章(某出版社から出版予定ということで分担執筆を引き受け,原稿を出した後,長い間放置され,その後やっとゲラ校正原稿が来たので期限を守って提出したのに,やはりずっと放置され続けているもの)については,もう諦めた。おそらく,出版されることはないのだろう。

なお,下記のような記事も出ている。

 Social media-related crime reports up 780% in four years
 Guardian: 27 December, 2012
 http://www.guardian.co.uk/media/2012/dec/27/social-media-crime-facebook-twitter

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