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2012年12月13日 (木曜日)

comm

下記の記事が出ている。

 アンインストール数がハンパじゃない!無料通話アプリ「comm」の1か月半
 @DIME: 2012年12月12日
 http://dime.jp/genre/58826/

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(余談)

以下はあくまでも一般論だ。

私は,「仲間になろう」とか「便利だよ」とか言って最近の無料アプリや無料サービスの利用を求めてくる人がいると,軽蔑の気持ちを生じさせる。特にコミュニケーションツールではそうで,100パーセントの確率で軽蔑することになる。

これらは,かつてのフリーウェアとは全く異なる。

詐欺師の共犯であるか,または,完全に無知・無教養な人だと判定する。

その理由は簡単だ。

ビジネスはビジネスだということだ。

慈善事業をやっているわけじゃないので,何らかの方法で利益をあげることができなければ倒産するしかない。

倒産すると,「父さんの会社が倒産したよ」と駄洒落を言う余裕もなくなる。

では,どうやって利益をあげるのか?

アプリやサービスによって異なるが調べることが不可能なわけではない。

1)当該会社の決算書類等を丁寧に読み,完全に解析する

2)経営者が外国,外国政府または外国企業等のエージェントであるか,そもそも日本人であるのかどうかを調べる

3)経営者の全部または一部が広域暴力団等と何らかの関係している者であるかどうかを調べる

4)商業宣伝広告に出てくるタレント等の素性を調べる

5)当該アプリやサービスの利用に伴い自動的に付加される商業宣伝広告の中にどのようなタイプのものが含まれるかに留意する(マルチ商法,詐欺商法,偽ブランド,高利金融,アダルト系,くだらない商品やサービスやコンテンツなどの押し売り,その他の怪しいビジネスなど・・・)

6)サービスそれ自体を可能な限り冷たい目で徹底的に観察した上で,もし自分が最悪の犯罪者だったとしたらそのサービスをどのように悪用しようとするか,それによってどのような利益を得ることができるのかを想像してみる

こういうことをすればだいたいのことは見当がつく。

もし自分の会社が提供しているアプリまたはサービスが「適法なものだ」と主張したいのであれば,どのような収益モデルに基づくビジネスであるのか,そして,そのようなモデルに基づく実際の収益について,詳細に情報公開し続けるべきだろう。

もし公開された情報と異なる収益手段による収益が大きい場合には,所管官庁が厳しく対応することも可能となるし,消費者庁による消費者保護も可能となる。

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コメント

立山紘毅 先生

コメントありがとうございます。

フリーウェアの問題についてはちょっとだけ論文を書いたことがありますし,昔は結構議論の種になって面白かったですね。最近の論説等は読んでいて少しも面白くないです。自分でソフトウェアをつくったりシステム構築をしたりしたことが全くない人が書いているからだろうと思います。

コンピュータ関連に限らず,何となくどんな領域でも共通の現象のような気がしますね。

鎖国してからしばらく経った時期以降の江戸でも同じだったかもしれません。

投稿: 夏井高人 | 2012年12月13日 (木曜日) 21時50分

夏井高人 先生

 フリーソフトウェアとは何かという問題と、「ビジネスモデル」なるものの検証という問題の二つですね。

 いろんな都合でアンドロイド系のスマートフォンを手に入れて、著作権情報を読み、ついでにiPhoneのそれも読んでみたら(もちろん買ってません)、何のことはない、UNIX SVR4を「親」とする従兄弟くらいの関係しかない、というのに、そういうことを指摘する、自称・IT専門家はいませんね。一方で、厳格なフリーソフトウェア定義を主張する、Rechard Stohlmanの主張もまた、それらソサイエティでは、氏名表示権のレベルでのみ受容されていることにも気づきましたが、こういう原理的な議論は最近とんとお目にかかりません。

 また、著作権保護の重要性を強調する著作権マフィアの手先はたくさんいますが、もしこれらが全部ライセンス料を請求したら、端末価格はいったいいくらになるのか、なんてことを言う人もいませんね。

 もちろん、“as is”で提供して免責を主張するのが趣旨だとしても、一方で、これらソフトウェアの製作者たちは自らの名前が計算機の歴史に残ることに栄誉を求め、そこで満足するとも思えます。思えば、CPUの歴史において大きな役割を果たしたビジコンの創業者も、特許権が成立しないことによってCPUがどれだけ人々の役に立ってきたか、そこに自分の名前が連なることに名誉を感じる、と言っていたのを思い出します。

 こういうhonorは「ビジネスモデル」の前に消滅して、確実にdecencyが減っていく。そんなことを感じます。

 そういう状況の前では、いくら「ビジネスモデル」の検証可能性を説いてみても無駄、と悟ってしまいました。そもそも諺に「タダより高いものはない」と言うくらいですから、先生のおっしゃる検証は「カン働き」で「怪しい」と気づいて当然だと思うんですが。

 今でも羨望の念を禁じ得ない人が大勢いるようですが(そういう連中がいる限り、不景気は続くと私は言ってます)、バブルまっさかりに「衣食足っても礼節を知らず」、崩壊したらしたで「貧すれば鈍する」とばかりに、「タダより安いものはない」と「デフレ消費」までならまだしも、労働の価値までデフレ化させてにっちもさっちもいかなくなっている姿を見ると、「もうどうでもいいや、どうせ先行き長くないんだから」と投げやりな気持ちになる自分がいます。

投稿: 立山紘毅 | 2012年12月13日 (木曜日) 15時41分

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