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2012年12月 1日 (土曜日)

シリア:Anonymousが,シリア政府に対して宣戦布告

下記の記事が出ている。

 Hacking network Anonymous declares cyber war on Syrian govt
 RT: 30 November, 2012
 http://rt.com/news/syria-hacking-internet-web-001/

 Hacktivist group targets Syria in wake of internet blackout
 infoSecurity: 30 November, 2012
 http://www.infosecurity-magazine.com/view/29611/hacktivist-group-targets-syria-in-wake-of-internet-blackout/

Anonymousの声明によれば,シリア政府のサイトを破壊したとのことだ。

これは,(本来の意味での)サイバー戦かもしれない。

シリアでは,シリア政府により通常のインターネット通信が遮断されている。民主化運動阻止と推定されている。現在利用可能なのは,基本的に,政府によって管理され,常時通信傍受されている通信回線だけだ。

 Cutting Syria's Internet: desperate move doomed to failure
 Huffington Post: November 30, 2012
 http://www.huffingtonpost.com/committee-to-protect-journalists/cutting-syrias-internet-d_b_2220361.html

 Syria Internet outage: How it might have happened and what it means
 Washington Post: November 30, 2012
 http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2012/11/30/syria-internet-outage-how-it-happened/

 Official Syrian Web Sites Hosted in U.S.
 New York Times: November 29, 2012
 http://www.nytimes.com/2012/11/30/world/middleeast/official-syrian-web-sites-hosted-in-us.html

従って,Anonymousによる攻撃は,通常のインターネット以外の通信経路を介して実行されたと推定するのが素直な理解ではないかと思う。そして,通常のインターネット以外の経路を用いたサイバー攻撃が可能なのは一体誰なのかを冷静に考えてみれば,事態の重大性を認識することが可能だろう。

ちなみに,高度にインターネットに依存しネットワーク化された現代の軍では,インターネットを完全に遮断または破壊してしまうと軍事行動がとれなくなってしまうというジレンマが存在する。シリア軍のレベルがどの程度であるかは不明だが,少なくとも,軍事用の特殊回線以外の普通のインターネットを用いて通信しているシリア軍将兵の士気を維持する上で,シリア政府のとった方策が得策だったかどうかはわからない。誰もが疑心暗鬼になるだろう。そして,反乱者が出てくる。

ともあれ,リアルとバーチャルとが混在するサイバー戦の戦場として,シリアがかなり注目度の高い地域となっていることは誰も否定できないだろうと思う。世界中が注視している。それは,明日の自国の状況かもしれないからだ。

[追記:2012年12月3日]

関連記事を追加する。

 Syria back online after two-day internet blackout
 ZDNet: December 3, 2012
 http://www.zdnet.com/syria-back-online-after-two-day-internet-blackout-7000008201/

[このブログ内の関連記事]

 シリアの電子戦部隊
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-ffbc.html

 Amnesty InternationalのWebサイトがシリア政府支持者によってハックされたようだ
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/amnesty-interna.html

 Anonymousがシリア政府の電子メールを大量に入手しWikiLeaksに流したのは,米国CIAによるサイバー戦の一部か?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/anonymouswikile.html

 シリア:内戦にサイバー兵器(トロイの木馬)が投入されたようだ
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-148e.html

 シリア:サイバー内戦が激化
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-2ad2.html

 シリア政府のWeb サイトは,米国,カナダ及びドイツでホスティングされているサーバ上にある
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/web-c475.html

 シリア:シリアテレコムのプロキシ用Blue Coat Systems社製ソフトを用いてシリア政府が傍受した通信記録が暴露されたようだ
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/blue-coat-syste.html

 シリアのサイバー戦争
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-1da9.html

 シリア軍電子戦部隊が AnonymousのソーシャルネットワークAnonPlusをハックし破壊
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/anonymousanonpl.html

 シリア:政府国防軍のサイトがハックされたらしい
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-0b79.html

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