オーストラリア:ユーゴスラビアからオーストラリアに移民したMilorad TrkuljaについてGoogle検索すると暗黒街と関係する者のように示唆する検索結果が表示されてしまうことについて,社会的評価を損なうものだとして,Googleに対し損害賠償を命ずる陪審評決
下記の記事が出ている。
Google loses Australia 'gangland' defamation lawsuit
BBC: 31 October, 2012
http://www.bbc.co.uk/news/technology-20153309
この種の問題については,プロッサーの第3類型に分類されるプライバシー侵害として理解するのが妥当だというのが私見だ。この点については何度も触れてきた。法科大学院での今週の講義でもそのように説明したのだが,中にはピンとこない学生もいたようだ。日本の誤った通説に毒されてしまっているのだろうと思う。毒抜きには時間がかかる。
一般に,「ソフトウェアで自動実行した結果なのだから不法行為は成立しない」という法理は存在しない。「侵害の結果を発生させ得るようなソフトウェアを設計・実装・運用すること」が不法行為となる。
このことは,ソフトウェアではない物理的な機械装置等の運用によって侵害の結果が生じた場合と比較しながら考えてみると,あまりにも当たり前のことだ。
[追記:2012年11月2日]
関連記事を追加する。
Google loses "Melbourne Crime" defamation case, man feels "vindicated
ars technica: November 1, 2012
http://arstechnica.com/tech-policy/2012/10/google-loses-melbourne-crime-defamation-case-man-feels-vindicated/
[追記:2012年12月8日]
関連記事を追加する。
Google Loses Lawsuit in Australia Over Defamatory Search Results
Slate Magazine: November 12, 2012
http://www.slate.com/blogs/future_tense/2012/11/12/milorad_trkulja_australian_man_
wins_lawsuit_against_google_over_defamatory.html
Google hit with $208K fine over alleged defamation
CNET: November 12, 2012
http://news.cnet.com/8301-1023_3-57548431-93/google-hit-with-$208k-fine-over-alleged-defamation/
ネット検索で名誉毀損、豪裁判所がグーグルに賠償命令
AFP BB: 2012年11月14日
http://www.afpbb.com/article/economy/2911670/9828000
[このブログ内の関連記事]
フランス:ある男性について「強姦」等のキーワードと自動的に関連付けをしたことが名誉毀損に該当するとして,Googleに対し,5,000ユーロの損害賠償金の支払いを命ずる判決
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/google5000-8954.html
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