「違和感がある」
下記の記事が紹介されていたので読んでみた。
「違和感がある」はマズい
地政学を英国で学んだ: 2012年9月5日
http://geopoli.exblog.jp/18936348/
結論から言うと,違和感がある。
一般に,世界中どこでも,レトリックなしには生きていけない。
それは英国の知識階級でも米国の上流階級でも同じだ。
もちろん,英国でも米国でも,「違和感がある」に相当する英語表現で十分に意図が通じるし,それで「おしまい」にしてしまうこともしばしばある。
一般に,意図的に言葉の魔術に頼り,正面からの議論を避けるのは「賢者の教え」の一つだ。
ただし,意図的に曖昧な語彙を操ることのできる能力を有することが英国では上流階級に属する知識人としての必須要件とされているのに対し,米国ではそのような生き方を毛嫌いする庶民派が少なくないという文化的対立のようなものは存在する。しかし,英米どちらでも,一般に上流階級では曖昧な語彙を駆使することが比較的多い。
そして,事実として,ネット上のブログ等には「違和感がある」に相当する英語表現が溢れているし,小説や映画の中にも溢れているので,別に違和感のある英語表現ではない。
他方,「独白」として「違和感がある」と述べることは,誰に対して議論をふっかけているわけでもないので,そもそも攻撃にならない。攻撃ではない言動に対し,それを「攻撃」と受け止めて反撃すると,世間は「馬鹿だな~」と評価してくれるので,それだけで目的を達したことにもなる。
誰かの独白に対しては,その独白者に対してダイレクトに反論するのではなく,自分も勝手に空中に向かって独白するだけにするのが一番高尚なやり方だということになっている。そこでは会話や議論や対話といったものが最初から全く予定されていない。だから,私も,上記の記事を素材としつつ,この記事において勝手に独白するだけとしている。そこでは,対話や意思の疎通というものを全く予定していない。双方とも言いっ放しで良いのだ。
そして,「違和感がある」に対して何か「反応」があることも期待されていない場合には,それが期待されていない以上,「どう思われるか?」も考慮されることが全くない。
・・・ということを正しく認識・理解していれば,日本においてはもちろんのこと英国においても,知的能力の高い教養人の一人として評価される可能性がある者であると言えるだろう。
下層階級の素朴な英語を知っているだけでは,英国の上流階級を理解することなど到底不可能なことだ。
そして,地政学は上流階級の知的娯楽の一種でもあるので,そのことを理解していないと地政学をちゃんと学んだことにもならない。
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