フランス:米国著作権法の域外自動執行(プログラム巡回監視により違法と自動的に判定されたサイトの自動的な破壊)により誤認されたフランスのセキュリティ研究者ブログが破壊されたらしい
下記の記事が出ている。
Virus lab blogger collared by blundering copyright cop bot
Register: 10 September, 2012
http://www.theregister.co.uk/2012/09/10/malware_research_blog_robo_takedown/
一般に,このような自動的な破壊を事前にブロックする方法はなさそうだし,誤認等の場合に修復や賠償を求めることも無理(基本的に,修復は物理的に不可能)と思われるので,「壊され損」となり,泣き寝入りするしかない,ということになりそうだ。
このような事態は,ネット上だけではなく,物理世界においても,例えば,ドローンの誤認による誤爆(ミサイル発射や爆弾投下等)によって多数の死傷者が出るといった事件の多発として存在している。
このようなタイプの問題を一般化して考えると,要するに,国境や国家主権とは無関係に,いつでも誰でも他国を攻撃可能な状態にあり,米国や中国のような超大国ではその攻撃の可能性及び攻撃の結果としての破壊の程度が非常に大きいというところに全ての問題が起因していると考えるべきだろう。
私は暴力を肯定する立場にあるわけではないが,世界の中でこのような状況を嫌う人々がいるのは事実であり,世界規模でのレジスタンスのような行為が自然発生的に生まれることを避けることができないのではないかと思われる。理論的な「正義」がどちらにあるのかが問題なのではなく,他国に対していつでも攻撃をしかけることのできる国が現に存在しているということが批判の対象とされてしまうことになるのだ。
そして,このような攻撃主体が,今回の事件のように著作権管理団体である場合,それは国でも軍隊でもなく営利団体のひとつに過ぎないので,批判の度が最大となる可能性が高い。
今後,著作権管理団体及びその関係者等に対し,電子的な攻撃及び物理的な攻撃(特定個人の殺傷を目的とするテロ攻撃)が激化することが予想される。
そのような事態の発生を避けるためには,著作権管理管理団体(またはそこから依託・依頼を受けた組織・団体等)による電子的な監視及び電子的な自動攻撃を直ちにやめるしかないだろうと判断する。
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