奇妙にリアルな夢をみた
夢の中で誰かが囁いた。
「地震が来る」
「え?」と驚いて周囲を見渡すと,暗い夜の海の上に漂っている。大きなうねりが見える。そんな不思議な光景を不気味に思っていると,本当にぐらりと来て目覚めた。
本物の地震だった。
目覚めて,「起きるべきか」と考えている間に,すぐに地震がおさまったので,「たいしたことなかった。大丈夫だ」と思った。思ったとたんに,また眠りに落ちていたようだ。
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ずっと前に家族と一緒に行った小岩井農場の牧場のようなところにいた。
草原の中に,札幌の時計台のような形をした小ぶりの白い木造建物が2棟ずつ向き合うようにして合計4棟建っていて,その建物の間を,黒いリクルートスーツを着た若い男性や,モネの日傘の女性の姿のような古めかしいファッションの女性などが行き交っている。雰囲気としてはスーラの点描画にある河畔の光景(群像)に似ている。
「ここは大学の工学部だ。大学祭をやっている。」
夢の中で,勝手に自分で納得している。
私自身も黒いリクルートスーツを着ていて,その姿がやけに若い。顔は,知人の相場師I氏とよく似ており,本物の私の容姿とは異なるのだけれど,やっぱり「私」で,その「私」を視聴者のような私が近くから観ているような感じ。
大学祭の手伝いをしているらしく,ある建物の中のブースに入り,あちこちでおしゃべりをしたりしている。大学祭なんだけれども,何となくIT関係の見本市の会場と池袋あたりにある百貨店の店舗内とが雑然と混在しているような不思議な空間。IT関連の出展ブースの間に女性用の靴下などの衣料品を売っているテナントのようなものが混じっている。
私は,なぜかときどき若い女子学生になっていて,ブースの担当の人から「バイト手伝ってくれる?」と言われ,「ちょっと待って,予定調べてみるね」と言って手帳を読んだりしている。奇妙な気分だ。
そんなことをやっている間に,元の黒いリクルートスーツの自分に戻っていて,30型くらいの大きさのブラウン管式のテレビ装置の脇に立っていた。テレビの上には男性用のヘアーピースが置いてあり,その脇に,システムの説明を記載した表示パネルがたててあった。
誰もいない。
「ここの説明担当をしなくちゃ」
なぜか自分で勝手に納得し,その場に立っていると,役所広司さんのような感じの男がやってきて,そのテレビを観ている。テレビには,その男の顔が黒いリクルートスーツ姿の顔の部分に自動合成され,白い背景で胸から上の部分で写っている。
「これ,何ですか?」
その男に尋ねられて,私は説明をはじめる。
「自動的に画像を合成する装置です。そのウイッグをちょっと触ってみてください。」
私にうながされてその男がテレビの上のヘアーピースに手を触れると,画面の中の姿の頭部に自動的にヘアーピースが合成され,あたかも現実にかぶっているような感じになった。
「ちょっと首を動かしてみてください」
私に言われて男がちょっとだけ顔をこちらに向けると,画面の顔も90度横に回転して横顔になった。
「このように3次元で合成できます。本当にかぶっているみたいでしょ?」
驚く男の顔を観ながら私が説明していると,なぜか画面が切り替わった。
画面の中は,どこかの体育館の2階にある回廊状の観覧席の手すりのようなところになった。その手すりのところに若い女性が両手を手すりにもたれるようにして階下を見ている。そして,ゆっくりと上半身をこちらに向け,そして,こう言う。
「やっぱり,あなただったのね・・・」
すると,男は,目を大きく見開き,動揺しながら小さな声でつぶやく。
「お,おまえ・・・」
女性の名前を呼んでいるようなのだが,はっきりとは分からない。
私は,なぜか冷淡な気分になっていて,その男の左側面から近づき,そして,その男の左手に手錠をかける。
男の背後には,いつのまにか,黒上下服・黒眼鏡・黒帽子のエージェントのような男が2人立っており,男が逃げないように背後を固めている。
男は,画面をみつめたままつぶやく。
「***子・・・,生きていたのか・・・」
私は,かなり冷淡な気持ちで,男に向かって淡々とシステムの解説を続ける。
「その女性の姿は,女優のモーションキャプチャで合成した被害当時の状況再現動画に殺された被害者の顔を合成して作成されたものです。この女性は,この場所から突き落とされて死にました。その現場にあった監視用モニタの記録画像の中に写っていた犯人らしい男の画像を自動解析し,髪の部分と顔の部分とを2つの要素にわけ,当時の髪の部分を自動的に現在のあなたの顔と合成した上で,近似しているかどうかを自動判定しています。だから,髪型を変えても,自動的にあなただと判定できてしまうんですよ。あなたが,そのヘアーピースの合成写真を観ている間に,システムが背後で自動的に指名手配中の犯人の全データを検索して自動的にマッチングをやっていたんです。指名手配犯がどこにいても自動的に探し出す装置です。」
画面の中の女性を凝視したままの男に対して,リクルートスーツ姿の私がそのように説明しているのを,観察者としての私が脇から観察しながら,「何というシステムだ!」とつぶやいている。
そうつぶやいている間に目が覚めた。
奇妙にリアルだ。
どちらが現実の世界なのか,よくわからない。
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