現在のDRM技術はなぜ邪悪なのか?
下記の記事が出ている。
Going blind? DRM will dim your world
ZDNet: September 22, 2012
http://www.zdnet.com/going-blind-drm-will-dim-your-world-7000004586/
私の予測では,このように透明性のないDRMシステムの運用それ自体が,かなり重大な脆弱性要素となる。
例えば,著作権のあるコンテンツは政府部内(諜報機関や軍などを含む。)の中にも数え切れないほど多数ある。
そのコンテンツの中に含まれるDRMの機能がハックされスパイウェアその他のマルウェアとしての機能を果たすようになっている場合,あるいは,著作権管理団体のシステムがハックされたり担当者が敵国のスパイであったりした場合,かなり重要な情報がつつぬけとなってしまったり,重要なシステムが破壊されてしまったりすることが,かなり高度の蓋然性をもって発生し得る。現実には既にそのような実例が存在するかもしれない。
したがって,国防の目的,情報セキュリティの目的,企業秘密の管理の目的,プライバシー保護の目的その他正当な理由がある場合においては,自由自在にコンテンツ内の著作権管理情報を消去または除去できるようにしなければならない。ここでいう「自由自在に」という意味は,法的にそのようにできるという意味だけではなく技術的にもそのようにできるということを意味している。
著作権管理団体の経済的利益(←著作権者に対する分配比率は極めて低いのが一般的なので,もはや著作権者を守るための組織だとは言えない場合が多々ある。)を守るために,世界の重要なコンピュータシステムが崩壊させられてしまったり,あるいは,企業や私人の重要な機密情報が盗み取られてしまったりすることは決して許されない。
つまり,世界中の著作権法は,大規模な改正を必要とすべき緊急かつ非常に重要かつ極めて深刻な必要性に直面している。
私の意見に耳を傾けない場合,インサイダー取引等が横行して健全な経済秩序が破壊されてしまう危険性を否定できないだけではなく,特許その他の重要な知的財産権情報に対するスパイ行為が横行して健全な競争秩序が破壊されてしまう危険性を否定することができず,そして,重要な投資家の経済的利益が一瞬にして壊滅させられてしまう危険性のあることも否定できない。世界一の金持ちが一晩で最貧民になってしまうことだってあり得る。
国防がほぼ全部解除されてしまい丸裸にされてしまったのと同じような結果を招き得ることは言うまでもない。
つまり,たかが著作権管理団体の経済的利益だけを守るために存在している不透明なDRM技術は,世界の安全を根底から破壊する。
ちなみに,世界の賢いコンテンツ企業は,既に脱DRM路線に切り替わりつつある。管理費がどんどん肥大化するためにかなり深刻な利益率の低下を招くことが判明してきたからだ。管理費によって収入を得ている者に飯を食わせるためにコンテンツ企業(←出版社を含む。)が存在しているわけではないので,このあたりは冷静に考え直してみる必要がある(DRM管理の依託は,従来の社内における流通管理をDRM管理というかたちでアウトソースする営みとして理解することができる。この場合,社内の流通管理部門をリストラすることにより経費削減をすることが可能になるが,DRMアウトソースによる経費が安くない場合,とりわけ売上と関係なしに一定額の経費が固定費として計上されてしまう場合,当初は固定資産税を新たに課税されているのと同じことになるが原価償却という概念がないので一定年限経過後に必ずコンテンツ単価よりも経費総額のほうが上回り赤字を計上し続けるという事態が発生することになる。課税とコンテンツ管理のアウトソースにはこのような部分において基本的な相違が存在するが,そのことを正しく指摘する学者がほとんどいないので,企業経営者が騙されてしまうのだ。)。賢い企業が選択または模索している脱DRM路線は正しい。
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http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-44e7.html
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