WifiホットスポットやボンディングIP接続のハッキングは,悪質な企業が作り出している?
下記の記事が出ている。
Windows 7 hotspot hacker turns to software bonding
Register: 22 August, 2012
http://www.theregister.co.uk/2012/08/22/connectify_dispatch/
ハッキングを実行するためのツールとしてのソフトウェアは,刑法一部改正で処罰されることになった不正指令電磁的記録に該当し得ると考えられるから,そのようなソフトウェアを日本で製造,販売,保管等の行為をすれば,刑法に基づき処罰されることになるだろう。それと同時に,そのようなソフトウェアの使用目的のいかんによっては,不正アクセスを助長する行為等として不正アクセス禁止法により処罰されることもあり得る。
なお,この記事の中でも触れられているとおり,本来クラウドなどで用いられるべきソフトウェアを1個の物理PCで使用した場合に何らかの問題が発生するということがあり得る。使用環境が異なれば,本来起きる可能性の低い問題が明確に顕在化するという例は,コンピュータに限らず様々な分野で存在する。
そのような場合に,本来の利用環境でないことを認識しながら,本来の利用環境でない環境で使用することを前提にソフトウェアを製造・販売した場合,もともとソフトウェアというものが機能的な存在であることからすれば,そのことだけで,不正指令電磁的記録罪の主観的要件(目的,故意)の充足を推認してよいのではないかと考える。
この場合の「故意」は,もちろん未必的な故意で足りるので,「理論上も実際にもそういうことがあり得る」という認識があれば十分だ。そして,この程度の認識が全くなかったという場合,その企業は,相当馬鹿であり,企業として成立・継続することが許されない企業ということになるので,別の意味での法的責任や処罰が検討されるべきことになるだろう。
要するに,問題が生じそうなときには商品を流通させてはいけないということに尽きる。
しかし,現実には「お金のためには何でもやる」というタイプの人間のほうが強いので,どうにもならない。
商売の世界(←資本主義社会に限らない。)は,基本的に営利(=金儲け)を至上の価値として成立しているので,仕方のない面はある。
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