Understanding Developments in Cyberspace Law (2012 Edition)
Amazonに注文(予約)していた下記の書籍が届いたので,早速読んでみた。
Understanding Developments in Cyberspace Law (2012 Edition)
Michael G. Rhodes, Charles A. Schwab, Julia Spoor Gard, Kathryn Hannen Walker, Alan L. Friel
Aspatore Books (2012/07)
ISBN-13: 978-0314285249
とても良い論文集だと思う。
ビッグデータと呼ばれる個人データの商業的な二次利用の問題を含め,現在議論されている様々な法的課題について,議論の前提となる基本情報を提供している。少なくとも,この書籍に書かれていることを完全に認識・理解・咀嚼した上でないと,ちゃんとした議論ができないのではないかと思う。
逆から言えば,自己診断チェックリストとして使用することもできる。例えば,この書籍を読んで,理解できた部分の割合に応じ,次のように仕分けすることが可能だ。
1 50パーセント未満
ほとんど無知なレベル(問題外)
2 50~69パーセント
普通だが,議論に参加するには更に勉強が必要
3 70~89パーセント
議論する資格あり
4 90パーセント以上
専門家レベルなので,この本に書かれている事項については議論する必要が既にない(=もっと新しく面白い課題について,何ら参考文献等がなくても自由自在に意見交換できるレベル)
・・・という感じだ。
サイバー法の世界は,日本ではもちろん法学の基本理論を完全に習得した上で日本国法の解釈論を正しく展開できる能力が求められるが,世界の中での日本というマクロの視点で今後の立法論等も踏まえた考察をするためには,比較法的研究の積み重ねが必須となる。とりわけ,何だかんだ言っても米国とEUの動向から目を離すわけにはいかない。
そういう観点からすると,コンパクトながら濃縮された豊富な情報を提供してくれるこの書籍は「良書」であると思う。
この分野に興味をもつ者にとって必備の一冊ではないかと思う。
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