トリクロサン(triclosan)が及ぼす害について,続々と報道されるようになった
下記の記事が出ている。読むだけでぞっとする。
Is Your Anti-Bacterial Handwash Harming You?
Huffington Post Canada: August 20, 2012
http://www.huffingtonpost.ca/jason-tetro/antibacterial-side-effects_b_1800059.html
この記事中で指摘されていることは,次のとおりだ。
1)トリクロサンが人間の体内に蓄積・濃縮されること。
2)母乳からは濃縮されたトリクロサンが見つかっており,おそらく肝臓,脂肪及び脳にも蓄積されると推定されること(脳を構成する組織の基本的な構成要素は脂肪酸の一種なので,脂肪組織に蓄積されやすい化学物質は脳の組織にも蓄積されやすい場合があると考えられている。)。
3)トリクロサンは人間の筋肉組織でも蓄積・濃縮されること。その筋肉には心筋も含まれるため,心筋内でのトリクロサンの濃縮の度が進むと毒性が強まり心臓疾患の原因となること。
4)トリクロサンの蓄積・濃縮現象は,自然界の動物や魚類でも実験的に実証されたこと。それによって重大な環境汚染が生ずること。
5)カナダ政府による調査結果(暫定結果)によれば,トリクロサンが自然界の藻類,無脊椎動物,両生類及び魚類を現実に汚染していることが確認されたこと。
以上のような感じだ。
加えて,この記事では,トリクロサンは人間の生活にとって必要不可欠な化学物質ではなくいくらでも代替品があるという事実を指摘している。要するに,さっさと製品を回収すべきであり,そのように回収しても社会生活上ほとんど影響がないという趣旨になる。
トリクロサンは,自然界で分解されることのない化学物質なので,PCBと同様,自然の生態系を汚染し続け,様々な生物の体内で蓄積・濃縮されたトリクロサンを人間が経口摂取することにより,人間の体内におけるトリクロサンの量を更に増加させ,濃縮・蓄積させ続けることになるものと思われる。基本的には,PCBの場合と類似する「公害の構造」が存在する。
さて,この件に関して,化粧品や薬用石鹸その他の家庭用品から毒性のある化学物質を除去すべきだという主張も高まってきており(←ただし,世界の趨勢とは全く逆行するように,日本のマスコミは,この件について一切無視し,沈黙を維持している。デジタル版朝日新聞が1回だけ簡単に報道したのが唯一の例外。),様々な新聞等がより詳しく報道するようになってきた。例えば,下記のとおり,Daily Mailでは重ねて詳しく解説する記事を出している。
Time for companies to pledge to remove dangerous chemicals from products
Fox News: August 20, 2012
http://www.foxnews.com/health/2012/08/20/time-for-companies-to-pledge-to-remove-dangerous-chemicals-from-products/
[追記:2012年9月18日]
関連記事を追加する。
Why you should avoid triclosan, a dangerous chemical in many household products
Star: September 11, 2012
http://www.thestar.com/living/article/1254854--beware-triclosan-a-dangerous-chemical-in-many-household-products
Triclosan: Is It Protecting You?
EmpowHer: September 16, 2012
http://www.empowher.com/wellness/content/triclosan-it-protecting-you
それにしても日本のマスコミではほとんど報道がない。堕落の極みだ。マスコミに務める人々は,国民に対して少しも恥ずかしくないのだろうか?
[このブログ内の関連記事]
トリクロサン(triclosan)及びパラベン(parabens)を含む薬用石鹸には,児童に対し,アレルギー障害を生じさせるような環境汚染効果がある
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/triclosanparabe.html
米国:トリクロサン(triclosan)の効能に関するFDAの見解-普通の石鹸と何も変わらない
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/triclosanfda-06.html
Johnson & Johnsonがトリクロサン(triclosan),フタル酸エステル類(phthalates)及びパラベン(parabens)を配合した化粧品などの製品を2015年までに全て回収することを決定-No More Tears
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/johnson-johnson.html
日本でも普通に市販されている口紅,石鹸(薬用ハンドソープ,ボディソープなど),洗顔フォーム,クレンジング,日焼けどめ,化粧水・美容液,消臭剤(ケアスプレーなど),シャンプー,歯磨き(練り歯磨き,液体歯磨き,洗口液など),ニキビ治療薬など及び医療用の各種製品(手術用縫合糸など)等に含まれている殺菌成分トリクロサン (triclosan,化学名 2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル)に心臓障害を発生させる問題が見つかる
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/triclosan-80c6.html
柔らかいビニール製品や化粧品などに含まれているフタル酸エステル類(phthalates)は,使用者のDNAにダメージを与え,また,妊婦の身体を通じて胎児を害するおそれ
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/phthalatesdna-9.html
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