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2012年8月12日 (日曜日)

原発ゼロで雇用減

下記の記事が出ている。

 原発ゼロなら…業界団体の96%「雇用減る」
 Yomiuri Online: 2012年8月12日
 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120812-OYT1T00271.htm

原発と関連する仕事をしている企業にとって,原発ゼロが致命的なことであることは,アンケートをとらなくても必然的なことなので,政治的なプレッシャーをかけるということ以外にはあまり意味のなアンケートだと思う。「原発ゼロ」とは,そういうことも含めて,「ゼロにする」ことを意味する。

私は,日本史を専攻する者ではないのであくまでも想像の域を出ないが,明治維新のころ,ちょんまげをやめることにした時点で,「それじゃお飯の食い上げだ」と嘆いた髪結いが多数あっただろうと想像される。しかし,その中でも賢い者は,早速横浜あたりに出て,街を往来する外人や既に西洋風の髪型をしていた日本人などを見たり,散髪のやり方を覚えるなどして,床屋になっていったのではないかと思われる。探せば,きっとそういうことを調べた書籍があるに違いないと思うのだが,余裕がないので調べられない。

要するに,社会の変化と共にあるタイプの産業が滅びることがあることは当然のことで,石炭産業にしても何にしても,過去のある時点では花形産業だったものが現時点では事実上消滅してしまっているといった事例は数え切れないほど多数ある。『女工哀史』の面影を探すことは,現時点ではかなり困難なことの一つになってしまっている。第二次世界大戦の終戦と共に,日本の軍事産業の多くは,物的にも法的にも消え去ってしまった。それでは,そのようにしてかつての花形産業が消滅した後に日本の雇用が絶対値として消滅してしまったのかというと,そうではなくて,別の産業へと転換してきた。つまり,かつての花形産業が消滅した後に,新たな産業が興り,それによって新たな雇用が生じたということになると考える。

原発ゼロにした場合,代替エネルギー産業が必ず必要になる。

電力産業及びその関連産業も,新たな産業のあり方に順応すべきだと思う。

環境の変化に適応できない場合,人間社会であっても自然界においても,生き残ることが許されないというのが地球に生きる全ての生物の宿命のようなものだ。

さて,このような未来予測は別としても,将来,新しい産業が全く発生しないということを絶対条件にしない限り,(単純な算数の問題として)「雇用が減る」という結論を導き出すことは,理論上不可能ではないかと思われる。

結局,政府がいまやるべきことは,原発ゼロにした場合に,新たな電力源の開発等に要するコストと期間並びにその後の収益可能性などを計算し,経済団体にちゃんと説明した上で,産業構造の転換を推進することではないかと思われる。

いつまでも現状のままでいることは,原発の有無とは無関係に,誰がやっても絶対にできない。

賢い企業や経営者は,すでに「乗り換え」を決意し,新たな投資を始めている。そのような企業はかなり多数になってきている。さすが,日本の優れた経営者はたいしたものだと思う。

この先どうなるかは本当は誰にもわからない。しかし,そのように不透明な現時点において,自分を信じて新たな産業のために投資し努力を積み重ねた者の中から,将来の日本の経済界における指導的立場を得る者が出てくるのだろう。

それに対し,現状維持だけを前提に「雇用が減る」と答えた経営者のいる企業は,気の毒だが,これからの世界の変化の中で生き残ることができないかもしれない。

既に他国で成功したビジネスを真似るだけのようなやり方は,既に古いのであり,どこか別の国の専売特許にしてやるべきだろう。そのような国は,他国のビジネスのものまねを継続する限り,米国その他の先進国からお叱りを受け続けることになるに違いない。

現代社会では,「産業革命」が毎日新たに発生し続けていると考えるべきなのだろう。

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