心不全による突然死事例の洗い直しが必要なのではないか?
トリクロサンについていろいろと書いてきた。目下のところ重視されているのは心機能の低下をまねくという毒性についてだが,乳幼児に関してはアレルギー疾患の危険性が指摘されているし,妊婦については胎児への影響が指摘されている。
ところで,労災事件の事例紹介のような連載記事をぎょうせいの判例地方自治という雑誌上で約5年ほど続けてきた。連載回数がまもなく60回となる。出版社からは今後も続けて欲しいと言われているので,たぶん続けることになる。
そのバックナンバーについては,下記のデータベースで調べることができる。
教員プロフィール:法学部教授夏井高人
http://rwdb2.mind.meiji.ac.jp/Profiles/9/0000807/theses.html
そのような連載記事のネタとなる労災事故その他の事故例を探していると,心不全による突然死の事例が結構たくさんあることに気づくことができる。
「心不全」は,実は症状を示しているだけの名称であり,その原因を示す疾患名ではない。実際,過労やストレスなどに起因する心不全の実例はある。
ここ数日,トリクロサン関連の論文や書籍などを読み漁っている間に,もしかすると,トリクロサンによる心機能の低下から心不全となったという死亡事故が既に存在するのではないかという疑問にたどりついた。
私は,医師でも病理学者でもない。だから,あくまでも机上の仮説としてはそういうことがあり得るということを示唆することまでしかできない。
しかし,もし亡くなった方の遺体の一部でも残存しているのであれば,残留トリクロサンの濃度くらいは調べることができるのではないだろうか?
このことは,トリクロサン以外の様々な化学物質についてもあてはまるので,この分野の専門家の中で他にも該当しそうな化学物質が存在するのであれば,注意喚起をすべきだろうと思う。専門家でない者でも,専門論文を読んで理解し,是認または批判するだけの能力をもった国民はたくさんいる。たまたまその分野を職業に選択しなかったという差異が存在するのに過ぎない。
[このブログ内の関連記事]
トリクロサン(triclosan)に関するJohnson & Johnsonの声明
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トリクロサン(triclosan)が及ぼす害について,続々と報道されるようになった
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/triclosan-68d0.html
トリクロサン(triclosan)及びパラベン(parabens)を含む薬用石鹸には,児童に対し,アレルギー障害を生じさせるような環境汚染効果がある
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米国:トリクロサン(triclosan)の効能に関するFDAの見解-普通の石鹸と何も変わらない
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Johnson & Johnsonがトリクロサン(triclosan),フタル酸エステル類(phthalates)及びパラベン(parabens)を配合した化粧品などの製品を2015年までに全て回収することを決定-No More Tears
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日本でも普通に市販されている口紅,石鹸(薬用ハンドソープ,ボディソープなど),洗顔フォーム,クレンジング,日焼けどめ,化粧水・美容液,消臭剤(ケアスプレーなど),シャンプー,歯磨き(練り歯磨き,液体歯磨き,洗口液など),ニキビ治療薬など及び医療用の各種製品(手術用縫合糸など)等に含まれている殺菌成分トリクロサン (triclosan,化学名 2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル)に心臓障害を発生させる問題が見つかる
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柔らかいビニール製品や化粧品などに含まれているフタル酸エステル類(phthalates)は,使用者のDNAにダメージを与え,また,妊婦の身体を通じて胎児を害するおそれ
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彼女のいる独身男性に対する提案-「トリクロサンって知ってる?」と尋ねる運動
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-0446.html
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