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2012年8月23日 (木曜日)

米国:ミシガン州で,自動的に衝突事故を回避するためのシステムとセンサーを組み込んだ自動車の路上走行実験

下記の記事が出ている。

 'Talking cars' tested in Michigan to cut road accidents
 BBC: 22 August, 2012
 http://www.bbc.com/news/technology-19349517

「平時」だけを想定する場合,素晴らしい技術だと思う。

しかし,「戦時と平時が常に共存する状況」の下においては,こうした自動操縦システムは凶器として利用され得る。当然のことながら,リモートハッキングのみならず,機械部品に最初からスパイ機能を埋め込んでおくことも可能であるし,そもそも管理センターのシステムがハックされてしまった実例も存在する。

もしこのようなシステムを広範に実用化するのであれば,部品の検査を徹底し,外部から自動車への電波等による通信を完全に遮断(ラジオ,テレビ,GPS等も全て遮断)する遮蔽技術を開発し,かつ,管理センターには24時間完全武装した軍隊を小隊規模で駐屯させて施設を厳重に監視すると共に,その従業員や役員の素行を徹底的に調査した上で,24時間監視の下に置き,少しでも怪しい行動があれば即時逮捕するような体制を構築しなければならないだろうと考える。しかし,このような対応をとることは,あまりにも馬鹿げている。

しかも,それだけ厳重に監視しても駄目な場合はあり得る。それは,国が物理的に侵略されてしまっているときだ。もしそうなってしまったら,どうにもならない。

この記事にあるシステムがどのようなものであるかについての詳細は知らないので,断定的な意見は避けるが,一般論としては,自動車の自動化については,「もし問題が生じても深刻な事態が発生する可能性のない限度」でやめておくことが大事だと思う。

なお,一般に,このようなロボット化された自動車に対するサイバー攻撃は,無差別になされることもあるだろうが,もし私がテロリストであるならば,(当然のことながら)重要人物が乗車している特定の自動車だけに全精力を集中してピンポイントで狙うことになるだろう(いわば「テロ攻撃の経済」または「テロ攻撃の費用対効果」)。

だから,自分が重要人物であると自己認識している者は,自分の自動車がサイバー攻撃を受ける可能性のないレガシーなタイプのものであることを確認する必要があるし,サイバー攻撃により制御を奪われた他の自動車が自分の自動車に突進してきて衝突しても壊れないような軍用の極めて頑丈な装甲車又は戦車に乗車することをお勧めする。

加えて,法律論としては,制御用プログラムにバグなどの欠陥があって問題が生じたときは,常に自動車メーカーが全責任を負うようにするために,完全な無過失責任(免責一切なし)制度の導入が必須だと考える。

・・・と,このように書いても誰も本気にしないだろう。

結局,現実に重大な事態(テロ攻撃による要人殺害等)が生じる日,あるいは,管理システムに対するハッキングにより大混乱が発生し,多数の犠牲者(死傷者)が出る日を待つしかない。

その点では,原発事故と何らかわらない問題構造がここにも存在していることになる。悲しいことだ。

なお,下記のような記事も出ている。

 The vulnerability of high-tech cars
 Marketplace: August 22, 2012
 http://www.marketplace.org/topics/tech/vulnerability-high-tech-cars

************************************

(余談)

システムによって異なると思われるので一概に言うことはできないのだが,他の自動車の接近を感知するセンサー部分に対し,電磁波砲(電磁波銃)等により偽の強力な信号電波を照射し,危険な状態にないので安心してドライバーが運転している状態の下においていきなり自動的に急ブレーキをかけさせ,ドライバーを狼狽させて事故死させるといったタイプの攻撃が十分に予想される。つまり,レーダー等の電磁波を利用するセンサーで感知するタイプの事故防止システムは,それ自体として自殺装置として機能させられてしまう脆弱性があるということを指摘しておきたい。

 

[このブログ内の関連記事]

 遠隔操作の自動車盗難防止システムに無権限アクセスし,100台以上の自動車にリモートアクセスしてイモビライザーシステムを起動させ,クラクションを鳴らしてエンジン起動不能状態にした男(元従業員)が逮捕されたらしい
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/100-4a79.html

 BMWのコンピュータ制御装置がハックされ,わずか1~3分で盗まれる!
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/bmw-4e83.html

 2012年には自動車に対する無線ハッキングが大きな問題となるとの指摘
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/2012-6f6a.html

 自動車の電子化が進んだ結果,自動車に対するハッキングが可能になった
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-404b.html

 自動車の警告システムを電波でハックし,偽のアラームを表示させることに成功
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-f2db.html

 スマートフォンのハッキングにより自動車の制御を奪うことができる脆弱性があるとの指摘
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-3ee9.html

 iPhoneで操作できる自動車
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/iphone-3714.html

 ドイツでも自動操縦自動車開発
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-8869.html

 現代の電子化された医療機器類はセキュリティを軽視し過ぎている
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-551d.html

 体内にインプラントされた心臓ペースメーカー等の電子機器類はハック可能か?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-b650.html

 インシュリン投与器具など医療用器具の中にはリモートでハック可能なものがあるとの指摘
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-fa41.html

 電子的な武器に対応するため,銃砲刀剣類所持等取締法の抜本改正が急務
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-3507.html

 自動車をIPネットワークで接続して管理するシステムのセキュリティに関する論文
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/ip-76ed.html

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