携帯電話の契約期間内の中途解約を制限し,中途解約の場合に違約金を課す条項は消費者契約法に違反し無効との判決
下記の記事が出ている。
auプラン解約金条項の一部無効 京都地裁判決
共同通信:2012年7月19日
http://www.47news.jp/CN/201207/CN2012071901001405.html
KDDIに限らず,同種の契約条項はどの通信会社にも存在するが,基本的には不当な拘束条件として無効と解するしかないだろう。その意味で,この判決には賛成する。
一般消費者は,個別に交渉して約款の修正を求めることができないので,消費者契約法に基づき無効であると裁判所に宣言してもらうしか手はない。
とてもお金のかかることなので金銭的には割に合うことではないし,担当弁護士としても持ち出しばかりで利益のない仕事になってしまうと思うが,要するに,それでも正義を貫きたいという場合があるのだ。
携帯電話の契約だけではなく,世間には無効と思われる契約条項が山ほどある。今回の判決は,契約期間の拘束と違約金に関する条項が消費者契約法に違反して無効であるとするもので,携帯電話に限らず継続的な役務提供契約全般に影響のある判決だと考えられる。関連する業種に属する企業は,直ちに自社の契約(約款)を調査の上で,適法なものとするための改訂作業をし,従来徴収してきた違約金(+遅延損害金+慰謝料)の返戻を迅速に進めるための手続を構築しなければならないだろう。
結局のところ,「何百万円かかっても無効の判決を勝ち取りたい」という執念のような気持ちをもつ当事者が出現するかどうかという偶然の出来事の有無に全てがかかっている。
[追記:2013年3月31日]
関連記事を追加する。
auの携帯中途解約金、2審は適法 2年割引契約
原告側が逆転敗訴
日本経済新聞:2013/3/29
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2905J_Z20C13A3CR8000/
au解約金「適法」…大阪高裁逆転判決
読売新聞:2013年3月30日
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20130330-OYO1T00336.htm
[このブログ内の関連記事]
京都地裁:パケット料金が高額である場合に警告を与えるべき義務を怠ったとして,ソフトバンクに対し,パケット料金の一部返還を命ずる判決
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-e11b.html
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