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2012年7月19日 (木曜日)

米国:連邦第一巡回区控訴裁判所が,ハックされた銀行は顧客に対して賠償すべきだとして事件を第一審に差し戻す判決

下記の記事が出ている。

 US Court of Appeals says bank security system wasn't up to snuff, meaning it might be liable for some loses incurred by a hacked customer
 Computer World: July 16, 2012
 http://news.idg.no/cw/art.cfm?id=99CD1617-F352-ECC3-66CEE02B7B1586F7

米国の裁判官の情報セキュリティに関する知識・認識が向上しつつあるということなのだろう。

日本の裁判所ではあと何十年かかるかわからない。永久にそうならないかもしれない。「大企業である」というだけで救済されてしまうことがあまりにも多すぎる。しかし,社会の広範囲に対して深刻な打撃を与えるような巨大な社会悪(例:原発事故)は大企業でなければなし得ないという当たり前のことに早く気づくべきだ。

私は,何らかの危険を発生させる大規模ビジネスに対しては,100パーセントの注意義務を課しても良い(=ほぼ無過失責任)と考えている。なぜなら,危険に伴う巨額の責任の発生というリスクを負いたくないのなら,そのビジネスに参入しないという自由があるからだ。リスクを覚悟でビジネスに参入したのである以上,自己責任を貫徹すべきだろう(リスクが顕在化することはないと安易に考えて参入したのだとすれば,「愚かな判断である」または「無知である」というだけの理由で100パーセントの責任を負わせてよいと考える。愚かな者や無知な者は組織のトップになってはいけない。それ自体が迷惑なことだ。)。

さて,日本の裁判所は,銀行などの大企業に対して非常に寛容だ。超有名大企業の関係者と姻戚関係のある裁判官が少なからず存在することもその一因となっているのではないかと思う。裁判官だけでなく弁護士でも検察官でもそうなのだが,姻戚関係を通じてある種の社会階層が構築されてきたことは,日本だけではなく世界中のどの国においても否定しようのない事実だと思う。そして,あるクラスに属する者は,(当然のことながら)自分が属するクラスの利益を確保することを最優先にしてしまう。それは,そのクラスにおいて是認されている価値観の中で日々暮らしていることから生ずる現象なので不可避的なものだと言える。

そのような自己の属するクラスに通有する価値観からの影響を排し,裁判官としての独立性を維持し,証拠を丁寧に検討し,公正な裁判をすることのできる裁判官は,歴史上数多く存在したとは言えないけれど全く存在しないわけではない。

そういう裁判官こそ偉大な判事として賞賛されるべき裁判官である。

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