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2012年7月23日 (月曜日)

橋本誠志「クラウドコンピューティング時代の倒産処理における個人情報保護と管財人の責任負担に関する一考察」

InfoCom Reviewが届いたので読んでみた。下記の論文が含まれていた。

 橋本誠志
 「クラウドコンピューティング時代の倒産処理における個人情報保護と管財人の責任負担に関する一考察」
 InfoCom Review 57号(2012年7月25日)16~31頁

クラウドと関係のない一般論の部分が多かったが,最近の破産法学のトレンドのようなものを垣間見ることができた。

クラウドの破綻(経営上の破綻及び物理的な破損の両方を含む。)は,いつでも起き得る。したがって,破産法の研究者の中で,この分野に注目する人がもっとでてきてほしいものだといつも思っている。

ただ,様々な論文や書籍を読んでみると,あくまでも一般論としては,結局,私が「破産とコンピュータ」法とコンピュータ7号96頁(1989/07/20)に書いたところの域を出ているとは思えないものが多いのは残念なことだ。

なお,「クラウド」の定義は簡単ではないのだが,私は,ビジネスモデルの総称だという説を出している(夏井・岡村・掛川『Q&Aインターネットの法務と税務』674-1頁)。最近では,岡村先生も私見に賛同されているようだ(岡村久道『情報セキュリティの法律[改訂版]』377頁)。それゆえ,どういう観点から述べているのか,当該論文等における用語の定義を冒頭しておかないと,よくわからない記述になってしまう場合がある。

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コメント

nilnilさん

情報提供ありがとうございます。

韓国の法案に含まれている新機軸としての事柄は,全て私が提案してきたものです。関連する私の論文等にも書いてあります。

日本ではほとんど受け入れてもらえませんが,韓国で実現するとは全く期待していなかっただけに驚きの気持ちのほうが大きいです。

同様の内容のものを去年の段階で英文にして既に米国の某プロジェクトに送ってあります。米国でも同様の動きとなっていってもらいたいものだと心ひそかに期待しております。

投稿: 夏井高人 | 2012年7月24日 (火曜日) 09時40分

クラウドと倒産といえば、先日韓国が「クラウドコンピューティングの発展及び利用者保護に関する法律」の案をパブコメにかけたのですが、その中にクラウド事業者の倒産に備えた条文がありました。経営者がユーザデータを持って逃げるのを防ぐようなところまではいっていませんが、保険加入義務や、ユーザデータの返還・破棄業務を代行する国による臨時管理人の指定といった条文がありました。ご参考までに。

http://www.boannews.com/media/view.asp?idx=32019&kind=0
http://www.kcc.go.kr/user.do?boardId=1014&page=P02030900&dc=K02030700&boardSeq=34249&mode=view

投稿: nilnil | 2012年7月23日 (月曜日) 20時18分

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