電力やガスなどエネルギー分野におけるスマートグリッドの真の問題点
FBIは,コスタリカでの実情に憂慮し,今後,Smart GRIDが普及するとスマートメーターのハッキングによる電気窃盗が増加すると懸念している。
このことは,既にこのブログでも紹介した。
スマートメータのハッキングが流行するおそれとのFBIによる指摘
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/fbi-6303.html
更に関連記事が出ているので追加する。
Smart meter security: the human element
Gigaom: April 13, 2012
http://gigaom.com/cleantech/smart-meter-security-the-human-element/
この記事では,FBIのレポートを引用しながら,この種の犯罪における人的要素の重要性を強調している。そして,情報セキュリティ確保のためのソフトウェア的対処について述べている。ほとんど無駄だと思うが,この記事では無駄だとは思われていないようだ。その原因は,この種犯罪における「人的要素」を著しく過小評価したためだと判断する。犯罪者の知的能力を馬鹿にしてはならない。少なくとも防御側のトップ技術者よりもはるかに高い知的能力をもつ者が多数存在するという事実を直視すべきだ。
なお,電気窃盗は,日本国でも刑法に基づいて処罰される(刑法245条,235条)。
さて,スマートメータについては,電機窃盗という「想定外」の事態がFBIによって指摘されたため,右往左往している人々がいるようだ。私は随分前からそのような問題が発生する可能性を指摘してきたし,当然そうなるだろうと思ってきたので,「今更・・・」というのが正直な感想だ。世間には,無能な人々が多すぎる。
それ以上に問題なのは,スマートグリッドやスマートメーターの真の問題点について,まだほとんど認識されていないということだ。
真の脆弱性要素とは,本当は,スマートグリッドの構築それ自体が,ハッキングのための出入口をどんどん増やす行為になっており,自滅へと突き進む行為だということだ。
無論,電子的な防御はある程度まで可能だろう。しかし,必ず敗れる。しかも,防御のためのコストが異常に増加するので,企業経営上深刻な問題を発生させることになる。電力会社は料金値上げによって対処しようとするだろうが,国民の理解を得ることは難しいだろう。
要するに,「スマートメーターを使用せず,機械式のメーターで検針する」というやり方を堅持する企業が最も賢い企業だという結論しかない。このことは,何度も述べてきたことだ。
米国各州では,私見と同じような見直しの機運が更に高まっている。このことについても何度も触れてきたので繰り返さない。
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