分担執筆したランの本の出版(予定)
法情報論の研究素材として植物遺伝子に関する研究を始めたのはだいぶ以前のことだ。研究成果を集積し,徐々に論文として公表しつつある。
単に机上の空論に終わらないようにするため,非常に多くの種類の植物を実際に育ててきた(←もちろん,禁制品や違法なものは栽培していない。)。植物と関係する法律問題(特許関連の法律問題を含む。)を論ずる研究者や実務家は決して少なくないが,実際に植物を栽培したり遺伝子解析をしたりした経験が一度もない者が少なくない。とても信用できたものではなく,空理空論に近いものが珍しくない。何度か意見交換を試みたことがある。しかし,前提となる「事実」を全く知らないで机上の法理論をいじくりまわしているだけなので,全くお話しにならないということを理解し,以後,例外的な数名の非常に優れた人々を除き,誰とも議論しなくなった。無知な人や経験のない人と議論してみても,全く空虚だ。
さて,私が実際に栽培してきた植物の中で最も種類が多いのはラン科植物だ。ラン科植物は,原種だけで世界中に2万種類以上あるといわれるだけではなく,植物の進化上最も最後に進化してきた植物であり,現時点でも盛んに突然変異をひきおこして新種をどんどん生み出しているという極めて興味深い生物の一種だ。しかも,人類と共生するタイプのランまで出てきている。
そういうわけで,ラン科植物の研究にものめりこんだし,その成果として,逆にランの目で人間社会を観察することも覚えた。
しかし,これらの研究や栽培は,あくまでも法情報論の素材としてしてきたことだったので,園芸や植物学の世界で飯を食う気はなかったし,現時点でもない。
けれども,世間は放置してくれないようで,野生ランの図鑑のような書籍の分担執筆を頼み込まれ,やむなく引き受けることになった。収入的にはほぼゼロなので経済的には全く無意味な仕事といえるが,人間関係を重視することにした。
その書籍は,東京ドームで開催される「世界らん展」に合わせて出版される予定だ。世界らん展の会場でも販売となるかもしれない。
小型野生らんを楽しむ
栃の葉書房 (2012/2/13)
ISBN-13: 978-4886162588
このように書いても,「趣味・道楽でランを栽培しているのじゃないか」と考える人が多いだろう。
しかし,私が明治大学法学部で担当している「植物と法」の講義をちゃんと受けた学生ならば,「そうではない」ということを正しく理解しただろうと思う。
いずれ,論文を次々と公表することになるので,世間にはそのときに理解されれば良い。
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