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2011年11月21日 (月曜日)

英国:インターネット上でのテレビ番組のストリーム配信は,配信する際にバッファにコンテンツデータの複製が一時生成されるので,違法複製行為として著作権侵害になるとの判決

下記の記事が出ている。

 High Court: TVCatchup reproduces copyrighted films ... in buffers
 Register: 19 November 2011
 http://www.theregister.co.uk/2011/11/19/tvcatchup_reproduces_copyrighted_films_in_memory_buffers_says_high_court/

そもそも,現在の普通のアーキテクチャ(←量子コンピュータを除く。)では,データの移動は存在せず,次々と複製の連鎖が発生しているだけなので,複製なしのコンピュータシステムは存在しないと言ってもよい。

したがって,キャッシュやメモリ(←仮想メモリを含む。)での一時的な複製でも「複製」だとすれば,コンピュータシステムを使ってはならないということになるだろう。

複製が不可避なコンピュータシステムを使ってはならないのはTV局も同じだから,TV局は,完全に自己に著作権等の権利のあるコンテンツ以外の要素については,コンピュータシステムを使って番組を制作したり放送したりすることが許されないということになる。

もともと放送番組を個人が録画して利用することは許されているわけだから,それを誰かが代行しまとめて処理する場合であっても本人が処理する場合でも,テレビ局の側には何ら損害は発生していないはずだ。

そもそもTV放送によりコンテンツを提供してしまった以上,そのコンテンツの流通を独占しようとすること自体が最初から不能を目的としているということができる。「放送」が独占的な支配権を維持できるのは,「視聴者は記録装置をもっていない」という環境が維持されていることを必須の前提としている。しかし,現在の環境は全く異なっている。「放送」という独占モデルそれ自体が成立しない環境になっているのだ。

要するに,そのような環境の変化を一切考えずに「独占できる」と妄信し,複製権や公衆送信権等を議論することそれ自体が間違っていると思われる。

この点は,日本の「まねきTV事件」の最高裁判決でも全く同じだ。

単純な加算・減算の計算能力を有する裁判官であれば,全く別の判決になっていたであろう。

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(余談)

明治大学法学部では,法と情報コースのコース主任をしている。

これまでの実績を踏まえ,目下,全面的な見直し作業の最中だ。

2012年~2013年には,順次,新しい科目構成や科目内容で授業というコンテンツを提供することになる。授業担当の教員(非常勤を含む。)にも異動が生ずるだろう。

1997年に「情報文化論」の教科書として使うために『ネットワーク社会の文化と法』を書き,出版した。ありがたいことに,この書籍は重刷を繰り返すことができた。内容的にも,当時予言していたことの大半を的中させることができた。それによって,私見の評価を堅実なものとすることができたと考えている。

それから15年を経過し,環境が著しく変化してしまった部分と全く変わっていない部分がある。何が変化し何が変化しなかったのかをじっくりと考えながら,この書籍の続刊を書くことにした。

続刊ではこれからの15年間に起こることを予言したいと思う。1997年当時もそうであったように,大概の人々からは冷淡な反応を受けるだろう。それでもかまわない。その15年後には,私の見解のほうが正しかったと誰もが認めざるを得ないような状況になっていることだろう。

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