衆議院や官庁等に対するサイバー攻撃と住基ネット関連訴訟判決の信頼性
いわゆる住基ネット関連訴訟において,最高裁は,「本人確認情報の漏えい防止等の安全確保の措置として,技術的側面では,住基ネットシステムの構成機器等について相当厳重なセキュリティ対策が講じられ,人的側面でも,人事管理,研修及び教育等種々の制度や運用基準が定められて実施されており,現時点において,住基ネットのセキュリティが不備なため本人確認情報に不当にアクセスされるなどして本人確認情報が漏えいする具体的な危険はない。」と述べている。
平成20年03月06日最高裁判所第一小法廷民集第62巻3号665頁
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=35933&hanreiKbn=02
しかし,一般に,ハックされないサイトは存在しないので,そもそも重大な事実誤認がある。
現実に,衆議院サーバや外務省その他の官公庁のサイトのみならず,日本で最も厳重に情報セキュリティ措置が講じられているはずの三菱重工等の防衛産業に対するサイバー攻撃がなされ,大量の機密データが中国に流出した可能性が高い。
要するに,最高裁判決は全く根拠のない理由に基づく空虚なものだということができる。
同様のことは,原発訴訟についても言えることだし,著作権関連の訴訟でもそうだ。加えて,DNA鑑定等の精度について十分な吟味を加えないで冤罪事件を発生させてしまったことも同様の例として考えることができるだろう。
あまりにも荒唐無稽な最高裁判決がどんどん積み重ねられてきていることに深く憂慮する。
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