iCloudではiTunesなどで購入したコンテンツでも取り扱えないという制限
下記の記事が出ている。
iCloud解説。概要、主な機能、設定方法、価格など。
AppBank: 2011年10月7日
http://www.appbank.net/2011/10/07/iphone-news/308300.php
この解説の「iCloud の盲点」のところには,「iCloud には扱えないデータもあります。それはユーザーが iTunes に取り込んで iPhone/iPad に同期した楽曲や動画です。」,「何故扱えないのかというと、現在の著作権制度ではそれぞれの楽曲や動画の著作権者の許可なしに、これらのデータを Apple が管理することはできないからです。」,「ですから、自分で取り込んだ楽曲や動画を iPhone/iPad に入れるには Dock ケーブルを使うか、iOS 5 の Wi-Fi シンクを使って iTunes と同期する必要があります。」との説明がある。
馬鹿げたことだと思う。
ディスクがスマートフォン等のデバイス上にあってもWeb上にあっても,著作権法の解釈の関係では何の差もないではないか!
しかも,Wen上のストレージに記録したとしても,権利者には何の経済的損失もないではないか!
もし権利者団体が二重課金を強要・強行しようとするのであれば,それは,独占禁止法違反行為となる。
この点と関連する日本の裁判例における著作権法解釈は,全く理に適っていない。
なお,誤解を避けるために附言しておくと,私は,Appleを擁護するためにこの記事を書いているのではない。Appleの製品は1個も持っていないし,特に興味もない。
しかも,私は,パブリッククラウドには基本的に反対の立場をとっている。そうでありながら,このような記事を書くのは,最高裁や東京地裁等における著作権法の解釈が「狂っている」としか言いようがないからだ。筋の通らない詭弁は大嫌いだ。
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