« Yahoo検索とBing検索が汚染されており,マルウェアを感染させる偽サイトに誘導する危険性があるとの指摘 | トップページ | 弁護士が論文を書く場合 »

2011年9月18日 (日曜日)

自律分散型のスマートグリッドは技術的には可能と思われるが・・・

ある人とちょっとした論争的なことがあった。他の人も列席している面前で完全に論駁してしまうと面子の問題もあるだろうと思い,かつ,敬老の精神を発揮して,私が引き下がった。

しかし,技術的に可能なことは法的に可能であるとは言えない。

集中管理するシステムをもたない完全な自律分散型のスマートグリッドには次のような問題がある。

1) システム構成にもよるが,集中的かつリアルタイムにジャーナル管理をすることを放棄する場合,適時での情報セキュリティ監査等が不可能または著しく困難となる。

2) 1と同様,何かインシデントが発生した場合にそのインシデントの発見が遅れ,適切なレスポンスができなくなる危険性が高い。

3) 1と2は,電力会社等に求められる安全性確保の義務を定める各種法令に違反する危険性がある。

4) 税法上の問題がある。例えば,売電と買電を自動的に相殺した結果をバッチ処理し,課金等をすることは可能と思われるが,理論的には,自動相殺する前の売電の合算額に対して課税されるべきであると思われるので(買電の部分を税法上経費として扱うかどうかは見解が分かれるだろうと思う。契約上,自動相殺をした結果をもって「売り上げ」と考えることは可能と思われるが,売り上げがプラスである時点でもし契約を解除したとすれば,その時点での売り上げが存在しているはずなので,この種の契約をどう考えるべきかについては検討を要する。),自動相殺システムの運用は税の捕脱行為とみなされる危険性がある。集中的にジャーナル管理をすればそのような問題を避けることができるが,完全な自律分散処理システムでは,システム構成にもよるが,問題が生ずる可能性がある。

他にもいろいろと問題点がある。

そもそもこの論争は,「スマートグリッドではどこかに集中管理する仕組みが存在していないと全体の統制がとれない」ということ,そして,「スマートグリッドを構成するスマートメータその他の装置やノードは全てシステムの入出力端末として理解することができるから,それらの端末がハックされた場合,自動的にDDoS攻撃のようなものが可能になる」ということを私が主張したところ,「そうではない」という反論があったことに端を発している。

もっとも,私の頭脳が非常に劣悪すぎてちゃんと理解できていないだけかもしれない。

[このブログ内の関連記事]

 米国:国防上の最大の課題はネットワークの防御との声明
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-c0a5.html

 スマートグリッドの導入により国家的な規模でのテロ攻撃が可能になるとの指摘
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-7dc3.html

 スマートグリッドは非常に容易にハック可能なものであり,かつ,プライバシー侵害的なものだとの指摘
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-e93f.html

 米国:電力各社がStuxnetによる攻撃を受ける危険性があるとの警告
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/stuxnet-5ce5.html

 ハックされないコンピュータシステムは存在しないとの警告
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-8074.html

 スマートメーターは容易にハックできるとの指摘
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-d747.html

|

« Yahoo検索とBing検索が汚染されており,マルウェアを感染させる偽サイトに誘導する危険性があるとの指摘 | トップページ | 弁護士が論文を書く場合 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« Yahoo検索とBing検索が汚染されており,マルウェアを感染させる偽サイトに誘導する危険性があるとの指摘 | トップページ | 弁護士が論文を書く場合 »