韓国:1681年に発生した大地震に関する論文
日本語で読める詳細な論文を見つけた。
韓半島で発生した最大級の地震-1681年6月韓国東海岸地震-
秋 教昇,朴 昌業,都司嘉宣
歴史地震第20号(2005)169-182頁
http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/kaishi_20/28-Chu.pdf
立派な論文だと思う。
この論文の中では,「日本でも,1703年元禄地震,1707年宝永地震の2個の海溝型巨大地震が相次いで起きており,また,中国では,史上最大級の内陸地震である郯城地震(山東省)が清朝中国の康煕帝七年六月十七日(1668年7月25日)に起きている.このように日韓中三国とも大きな地震が十七世紀に集中して発生していることになる.このような事実は,偶然に生じたものであるとは考えにくく,これら4個の地震は東アジアで相互に関連して起きたと考えるべきであろう.」との指摘がなされており,非常に重要な指摘だと思われる。
現在,日本では,かなり大規模な地殻変動が進行中だ。
この地殻変動が朝鮮半島や中国に対して大きな影響を与えないわけがない。
[このブログ内の関連記事]
韓国:朝鮮半島の歴史上,大地震の記録があり,今後巨大地震の発生は避けられないとの指摘
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-187e.html
行谷佑一,佐竹健治,山木 滋「宮城県石巻・仙台平野および福島県請戸川河口低地における869年貞観津波の数値シミュレーション」
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/869-c01d.html
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コメント
立山紘毅先生
リアルタイムチャットですね^^
大飯原発付近に断層があることは地表を肉眼で観察しただけでもすぐにわかります。そのような地形をしているんですよ。「そうではない」と思い込みたがる心理が網膜を曇らせてしまうのでしょう。あるいは,舌を何枚か余計に生やしてしまうのかもしれません。
ご紹介いただいた記事は知りませんでした。教えていただき,ありがとうございます。
現在,地震関係は別のブログでやってます。そちらのほうに大飯原発関連の記事をアップしてありますので,ご参照ください。
福井県・大飯原発周辺に活断層の可能性
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/natural_disaster/2012/11/post-652a.html
立山先生から教えていただいた記事を早速追加しようと思います。
それから,白頭山の関係については,下記の記事もご参照ください。
船木義勝氏からの手紙
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/natural_disaster/2012/11/post-fd61.html
ありがとうございました。
投稿: 夏井高人 | 2012年11月17日 (土曜日) 21時02分
夏井高人 先生
立山紘毅です。なんだかリアルタイム・チャットに近くなっているようですが……
>私流の理解によれば,かなり頭脳優秀な人でも,
>「自分だけは例外」という全く根拠のない自信に
>基づく不思議な心理により,事実を直視しないこ>とが多々あるようです。
「かなり頭脳優秀な人でも」という部分を除けば、まさに私に当てはまる事柄、本当に身にしみます。つい昨日失敗したばかりなのに……そういうことの多いこと。
火山については、これら1680年代に沿海州一帯で発生した地震との関連性が疑われる宝永地震と富士山の宝永噴火ではありますが、今のところ、富士山は目立った兆候がないようです。しかし、当地ではひそかに白頭山(長白山)が警戒レベルということで、吉林省政府などはハザード・マップの作成にあたっているようです。
この噴火は300~500年程度の周期をもつらしく、北海道にもその痕跡が検出されていて、ウルトラ・プリニー噴火を起こした場合、気象変動のおそれも指摘されています。……拉致問題やら領土問題やらばかりを話題にしていると、思わぬしっぺ返しを食らう、と心配しているのですが、決して「杞憂」ではありますまい。
ちなみに、先生がご指摘の若狭湾について、福井新聞が昨日、注目すべき記事を掲載しています。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/38044.html
大飯原発近くの3断層ほぼつながる 連動可能性、敷地内も動いた疑い(2012年11月16日午前7時05分)
東京のメディアで報じているのは共同通信のみ。これもまたどこかおかしな構造だと思います。特に、山東省にいて、黒竜江から海南・チベットまでテレビで「ローカル・ニュース」が見られる、という環境にいると。
投稿: 立山紘毅 | 2012年11月17日 (土曜日) 20時43分
立山紘毅先生
中国からコメントありがとうございます。
通信回線の関係等でつながりにくいという事情は推察できます。
人間の記憶は本当に駄目ですね。高校で古文を勉強した人なら誰でも平家物語に書かれている治承3年(1179年)の地震のことを習っているはずなのに,福原(神戸)では地震がないと信じていたのですから,いかに知識が単なる知識としてしか受容されなかったのかを理解することができます。
知識は符号で表現されるものです。おそらく,それを符号として受容するキャパしかない場合,それだけで終わってしまうのでしょう。
自然災害と言えば,地震や津波だけではなく,火山のことも心配しています。誰でも不安に思っている富士山だけではなく,赤城山,浅間山,御嶽山,箱根火山など,関東地方に影響を与えそうな火山がいっぱいあります。古代の文書だけではなく比較的最近の歴史文献にも記録が残っているものがありますけど,それらも単に知識としてしか受容できない人にとっては,危機管理も何もないということになるのでしょう。
私流の理解によれば,かなり頭脳優秀な人でも,「自分だけは例外」という全く根拠のない自信に基づく不思議な心理により,事実を直視しないことが多々あるようです。
投稿: 夏井高人 | 2012年11月17日 (土曜日) 20時30分
夏井高人 先生
先程は失礼しました。現在の宿舎はネット環境があるものの接続が不安定で、サイトによってつながったりつながらなかったり、つながったサイトも別のときにはつながらなくなっていたりと頭を痛めています。
どういうわけか、先生のサイトはつながるもののたいへん速度が遅く、せっかちな私はつい右側カラムのコメント一覧を見落としていました。どうも失礼いたしました(さっきのコメントは消して下さいね)。
さて、当地に来て、昨年完成したばかりという山東省博物館を見学することを勧められ、先日さっそく行ってきました。さすがに斉の国の中心地、文物の所蔵はすばらしく、圧倒される思いでした。
特に龍山文化の特徴、黒陶の逸品は現在でも製作困難だろうと思われる驚異的な繊細さでしたが、ちょうど中国仏教美術の特別展が開催されていました。
私はてっきり、文化大革命の時期に研究がおぼつかなかったのが最近になって急速に研究が深まったのだろう、と思っていたのですが、実は文化大革命中も地道に発掘調査や研究が行われていたとのこと。想像できない困難もあった中で粘り強く研究を積み重ねてきた先人達のことを思い、つい思い込みで判断してしまった自分を恥じたものでした。
たしかに孔子廟に出かけると、紅衛兵たちに破壊された跡が生々しく残っていますが、ポル・ポトほどの蛮行には至らなかったようです。むしろ、近くの公園の文物などを見ると、孔子批判=周恩来批判だったのだな、と思わされます。
もっとも、地震については、教員も学生もたしかにあまりよく知りませんが、郯城地震については、中国独自のWikipediaというべき百度百科にかなり詳しい解説があり、推定震源分布とそれによるマグニチュード推定も書かれていました。
問題は、先日の四川大地震の龍門山断層の活動周期が1000年にも及ぶとなると、人間の記憶がもちこたえられない、というところでしょうか。現に、1995年阪神淡路大震災でも、神戸の多くが「神戸でこれだから、東海・関東地方は壊滅だろう」と思ったと聞きます。歴史を調べると「方丈記」に見える大地震をはじめ、近畿地方も大地震の記録はあるんですがね。そもそも、六甲山塊そのものが断層なんですから、地震がない、と思い込む方がおかしい。
東日本大震災でも、産総研はすでに2009年には福島第一近くでの大地震の可能性を示唆していましたし、それより先、仙台平野における貞観自身のハザードマップは不気味なほど今回と一致していました。
さて、人間の忘却に耐えつつ、無用の心配をあおらず対策は立てられるのか……阪神淡路大震災が示したように、日本にも当地でいいうところの豆腐渣工程(手抜き工事)が少なくないと思われるだけに、あまり他人事とも思えません。
投稿: 立山紘毅 | 2012年11月17日 (土曜日) 19時00分
立山 先生
夏井です。
ご無沙汰してます。
中国山東省でも巨大地震があったことは,歴史をきちんと調べればすぐに分かることなんですが,中国では正しい歴史を教えていないのだろうし,文化大革命の際に貴重な文献の多くが焼かれてしまってオリジナルの史料がないということもあるんでしょうね。山東省では,巨大地震が発生し得ると思います。
韓国でも似たようなもので,おそらく韓国政府の政策により,韓国民に対して嘘による洗脳教育が行われています。そして,韓国人の多くが「地震のない国だ」と信ずるようになってしまいました。
これらは,防災という観点からは極めて問題なことです。とりわけ,地震がないと思って原子力施設の設計(強度計算等)がちゃんとなされなかったり,対応策が存在しなかったりということがかなりあるようで,これらの国で現実に地震が発生すると,地震の被害だけではなく,原子力施設の崩壊による放射能汚染が発生して,とんでもなく悲惨な状況が起きてしまうことが十分に予測されます。
これらの国の政府は,正直に事実を説明し,必要な対応策を講ずるべきだろうと思います。
古来,中国では,巨大地震が起きると人心が乱れ,王朝が滅ぶきっかけとなるということを繰り返してきました。それくらい,中国と巨大地震とは切っても切れない関係にあります。
とはいえ,同じことは日本でも言えますね。
観念的には,情報セキュリティの基本として物理層の安全確保を理解しているつもりでも,ほとんど現実味のあるものとしてとらえていない。むしろ,理論的にはそうでも実際にはないという前提で物理層の設計等に手抜きのある設備・施設が非常に多いです。ちゃんとやるとコストの問題があって利益を出せないということもあるのでしょう。
私からすれば,「利益を出せないのならやめろ」と言いたいところなんですが,「あくどい商人(あきんど)」のような人々のほうが権力をもっているのはどの国でも同じなので,どうにもなりませんね。
そういう人々が巨大地震や巨大噴火などの大規模自然災害によって一族もろとも滅んでしまうかどうかしてしまわない限り,基本的な部分での変革を実行することは不可能だろうと思います。
なお,Natural Disasterブログのほうにも歴史上の巨大地震等の資料のまとめ記事を書いていますので,ブログ内検索等で探してみてください。
投稿: 夏井高人 | 2012年10月28日 (日曜日) 06時13分
ご無沙汰しています。立山紘毅です。
今、中国・山東大学法学院で講義のため済南市に滞在中です。12月末まで滞在予定です。学生にとっては外国である「日本語で日本法を講ずる」ということに四苦八苦しています。
多くの学生、それに教職員も「このへんは地震なんてないから」と主張するのですが、ユーラシア・プレートという特性上、頻度は大きくないものの、逆に起きると大きくなる、ということはまだあまり一般的な知識ではないようです。
以前は、世界史上最大の犠牲者を出した「華県地震」の余波がここまで及んだことを示したことがあります(四川大地震の後)が、郯城大地震(1688)のことを調べて、ここにたどり着きました。
いわゆる東日本大震災については、昨年7月、ほとんど拉致同然(笑)で連れて行かれたソウル大学でのある学会で英語論文を発表する羽目になり、あやうく聴覚をほぼ完全に失いかけて冷や汗をかきました。
当然、主治医から大目玉をくらったのはいうまでもありませんが、実際、体力・気力の衰えは甚だしく、中国語・英語・日本語が飛び交う「会食」で、しまいには日本語で話しかけられて意味不明に陥るというお粗末です。
思わぬところでお目にかかって、長話をしてしまいました。
なお、当地の情勢は平穏です。
投稿: 立山紘毅 | 2012年10月27日 (土曜日) 13時54分