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2011年8月12日 (金曜日)

Wifiホットスポットは安全か?

下記の記事が出ている。

 Mobile security challenges travelers
 News Observer: Aug 08, 2011
 http://www.newsobserver.com/2011/08/08/1397549/mobile-security-challenges-travelers.html

 Watch Out When Connecting to Public Wi-Fi Hot Spots
 Retalor: Aug 11, 2011
 http://realtormag.realtor.org/daily-news/2011/08/10/watch-out-when-connecting-public-wifi-hot-spots

私も出張の際などに,飛行場やホテル内の無線LAN経由でインターネット接続することがある。特に海外出張などの場合には,中継地点である飛行場内でメールのチェックなどをしないと,次にいつコンタクトできるかわからないことが珍しくないので,Wifiホットスポットの存在はありがたい。

しかし,問題はある。

それらの無線LANの安全性を利用者の側で確認する方法がないということだ。

このことは,全てのタイプのクラウドコンピューティングでも全く同じなのだが,利用者は,単なる利用者に過ぎず,システムに対して監査する権限を全くもっていないので,調べようがない。ここでいう利用者とは,個人の場合と企業の場合の双方を含む。

だから,常に,「もしかすると,Wifiホットスポットで傍受されているかもしれない」という不安や「ここのシステムが既にハックされてしまっているかもしれない」という不安を持ち,そうであるかもしれないという前提で通信接続することになる。もちろん,同じことはホテルのインターネット通信とその設備でも言うことができる。私の場合,基本的に傍受されているのだろうという前提で行動することにしている。

そしてまた,これらの通信サービスを利用する場合,その利用案内には,ほとんど常に,「何らかの損害が発生したとしても,一切の損害賠償をしません」という趣旨の条項が記載されている。

このような条項は,利用者が消費者である場合には,もちろん「消費者にとって一方的に不利益な条項」として無効だ。しかし,損害賠償請求の訴訟をしなければならないので,一般消費者にとってその弁償を得ることが楽でないことは変わらない。

だから,私の場合,とりわけ海外出張のときには,壊されても奪われても困らないものしか所持しないようにしている。

何年か前にどこかに書いたことだが,米国に出張して商務省に行った際,商務省入口のセキュリティチェックで,PCのX線検査装置のベルトコンベアを担当職員が逆方向に動かしてしまい,その結果,私のノートPCが落下して壊れてしまったということがある。相手が米国商務省なのでどうしようかと困惑してしまったのだが,相手は平謝りで,結局,全額を弁償してもらった。

そのときは仕事での訪問だったので,そうなったのだろう,しかし,もし飛行場のロビーで無線LANを利用中に,そのシステムをハックした誰かから更に私のPCをハックされ壊されたりしたと仮定した場合,果たして飛行場当局等が弁償に応じるかどうかは不明だ。

まさにクラウディな世界というしかない。

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(余談)

随分前のことになるが,まだブロードバンド接続がそんなに普及する前のことだったので,海外出張中にホテルからインターネット接続することはそんなに容易なことではなかった。

それでも,ちゃんとしたホテルであれば,何室かには比較的高速で接続可能な設備があったので,可能なときはそういう部屋を予約して宿泊していた。

だが,気配で何となくわかるのだ。

 「誰かに監視されている」

私は,スパイではないし諜報・警察・防衛関係の人間でもない。単なる市民だ。

しかし,相手がどう思うのかは別だ。特に,どの国でも,現実に,「サイバー法」や「情報法」関係のトップクラスの研究者の多くは,その国の警察や諜報機関等の関係者であるか,または,それらの機関と非常に密接な関係を有しているかのどちらかであるので,そのように見られる可能性が高い。

私の場合,そうではないので,世界的にみても非常に珍しい存在なのではないかと思う。

しかし,相手はそう思わないだろう。何しろ,「国(または国の機関)から重要な情報をもらうことなしに,サイバー法のトップクラスの研究者でいられるはずがない」と信じている馬鹿者が少なくないからだ。そんな情報をもらったら二流になってしまうことは論理必然的に明らかだと思う。なぜなら,その情報を提供してくれる官僚のほうが先にその情報を知っていることになるからだ。これは,情報統制の手法による学問・研究の統制の一種で,中国等ではむしろ当然のことだろうと推定される。

だが,私は違う。

世間というものはなかなか難しいものだ。

ちなみに,24時間監視なので,監視するほうも大変だろうと思い,出張先のホテルの部屋から映画サイト等に接続したまま,ベッドで寝てしまうことがときどきあった。私は安眠を求めていたし,監視者にも休憩が必要だと思ったからだ。監視者は合法的に映画を楽しむことができる。これも仏心の一つというものだ。

もし,その監視者が,上司から「なんで映画なんか視てサボっているだ!」と叱られたとしても,「夏井教授が目下ホテル内からこの映画を視聴中なので,監視を継続中であります!以上!」と報告すれば足りるだろうと思う。その監視者は,本当は私がベッドの中で熟睡中だということを知っているだろうと推定されるが,そんなことはどうでも良い。(笑)

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