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2011年8月14日 (日曜日)

全ての通信履歴に対する捜査

下記の記事が出ている。

 SF Cell Shutdown: Safety Issue, Or Hint Of Orwell?
 npr: August 13, 2011
 http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=139607583

この記事は,直接的には,一時的に通信サービスが停止させられたことについてのものであり,そのことが表現の自由に対する侵害になるとの批判を呼んでいるというものだ。

しかし,本当はそうではないと考えられる。

日本国でも刑事訴訟法の一部改正により通信履歴に対する捜査方法が拡充された。

このこと自体は必要なことであるし,特に問題はない。

問題は,例えば,「被疑者不詳」として捜索・差押令状が出された場合,「不詳」である以上,全ての利用者の通信履歴を対象に捜査をすることができるのではないかという疑問があることだ。

上記の記事では,米国と英国での昨今の実例を示しながら,「全ての通信が警察によって捜査対象となるということは言論の自由に対する侵害ではないか」との議論が紹介されている。要するに,ジョージオーウェルの「1984」におけるBig Brotherのことを指している。

私見によれば,「被疑者不詳」の場合,理論的には「全ての通信」を対象に傍受や捜索をすることが可能と思われる。

しかし,それでは国民が納得するはずがない。

令状請求を審査する裁判官は,この問題について高度な知識と「良い感性」を持つべきだ。そして,令状の適用範囲を合理的に限定するための知恵を持たなければならない。

その自信がなければ,退官したらよい。

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