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2011年8月21日 (日曜日)

ドイツ:データ保護官が,Facebookの「Like」ボタンは個人データ保護法に違反しプライバシー侵害となる違法行為であるとの判定

下記の記事が出ている。

 German privacy watchdog declares Facebook's "like" button illegal
 DW World: 20 Aug 2011
 http://www.dw-world.de/dw/article/0,,15331909,00.html

 Facebook 'Like' button violates privacy laws, German official rules
 Washington Post: 08/19/2011
 http://www.washingtonpost.com/blogs/faster-forward/post/facebook-like-button-violates-privacy-laws-german-official-rules/2011/08/19/gIQADCCMQJ_blog.html

単に結果としての数字をカウントするだけなら特に問題は発生しないだろう。それを別の個人属性データを含め自動収集してしまうから問題が発生するのだ。しかも,EUの法制では,「事前の明示の承諾」が原則なので,隠れた収集をすれば,基本的に違法行為となる。

また,個人の属性に関する他人からの「評価」を変化させてしまいかねない要素の束を自動的に共有させるような仕組みは,プロッサーの類型における第3類型のプライバシー侵害を構成し得ることは明らかだ。この場合,そのような情報共有サービスを提供することそれ自体が侵害行為となる。

他人に対する「評価」は,それを個々人が自分の責任で行う限りにおいては,思想信条の自由や表現の自由の問題としてとらえることができる。しかし,個々具体的なプロセスを個別に管理するのではなく,ある「評価」の束を自動的に大量に生成してしまうようなシステムサービスを提供することは,その結果について責任をとるつもりがないことを最初から明らかにする行為であり,かつ,侵害の発生を阻止するための努力も最初から放棄する行為であるといえるので,そのようなシステムを運用しているというだけで違法行為であると言える。この場合,結果として生ずる一定の表現物は,個別具体的な精神的自由権の行使として生成されたものではなく,表現者が存在しない状況で自動的かつ大量に生成される単なる結果に過ぎない。つまり,システムそれ自体が違法な存在なのだ。日本では,Spyseeがその典型例だと考えている。

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