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2011年8月10日 (水曜日)

クラウドコンピューティング環境では個人識別の問題が更に深刻化する?

下記の記事が出ている。

 Cloud Society: Question of Identity
 Cloud Pro: August 9, 2011
 http://www.cloudpro.co.uk/cloud-essentials/1463/cloud-society-question-identity

「個人は定義できない」ということは何度も述べてきた。だから,難しいのだ。

一般には,個々の生物のことを「個体」と呼び,その生物がヒトである場合には「個人」と呼ぶと定義されている。

しかし,この定義は,よく考えてみると,何も定義できていない。からっぽの文章に過ぎない。

通常は,属性要素の集合をもって「個人」を定義できたことにしているのだが,厳密には,属性が帰属する「対象」が「個人」でなければならないので,全ての属性要素を排除しても明確に定義できているといえるような「個人」を前提としなければならないはずだ。

私は,定義できないという結論になった。

「個人」は,いつまでたっても仮説の一種に過ぎない。

だから,実在するという前提でシステムを構築してしまうと,どうやっても問題を解決できないことになる。

私は,法科大学院では「法人説」で説明するようになった。

「自然人」の概念を捨てるのだ。

仮説としての(仮定的)な「自然人」,それは,「法人」にほかならない。

そして,理論的には,「意思主義」を捨てることになる。

私が『ネットワーク社会の文化と法』(日本評論社,1997)の中で「処理主義」を提唱して以来,ずっと自説を維持してきたことは,これまで何度も述べてきたとおりだ。

加えて,非常に多くの社会制度等を私見である「免罪符説」で説明可能なことが次第に明らかになってきた。

ほぼ確信に近い。

*************************************

(余談)

民法の財産法の分野でも「不動産不存在説」で説明するようになった。

不動産は,「動産」の集合体に過ぎない。最大の不動産であると考えられている「地球」だって,宇宙の塵という動産の巨大な集合体に過ぎない。

このように考えることによって,民法上の様々な制度をより明確かつ簡潔に説明することができる。

最も単純に言えば,社会は,フィクションだけで構築されている。

ただし,伝統的な概念も教えないと学生が司法試験に落第してしまうので,2種類の考え方を教えなければならないことになる。

結構しんどい・・・

しかし,司法試験のために勉強した伝統的な学問がいかに役立たずであり,夏井説のほうがはるかにすっきりしているということを彼らが司法試験に合格し,実務についたときに明確に理解してもらえるはずだと信じている。


[このブログ内の関連記事]

 「プロバイダ責任制限法検証に関する提言(案)」に対する高木浩光さんの意見
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-db2b.html

 仮想高齢者問題
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-fb45.html

 IPA:2010年度バイオメトリクス・セキュリティに関する研究会報告書
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/ipa2010-1c64.html

 文化に進歩などあるのか?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-c7d7.html

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